会編、独禁政策研究会訳『管理価格ー公共政策論
集』(ぺりかん社、1967年)も参考になる。わが
国での独自の研究は、その歴史が浅いという関係
で数すくないが、本間要一郎著『独占と競争』
(新評論社、1974年)が原理的な研究では最もす
ぐれている。実務的なものでは、久保村隆祐・正
田彬編『マーケティングと独占禁止法』(生産性
本部、1970年)、吉田文剛編『独占禁止法の実務』
(商事法務研究会、1972年)が有益である。
(商学部教授)


 20世紀にはいってからの原子物理学の急速な進
歩により、ウランなどの重い原子核に中性子をあ
てると、2個の破片と数個の中性子に分裂し、そ
の際多量のエネルギーが放出されることが知られ
ていた。これをコントロールしながら、連鎖的に
行なうのが原子炉である。不幸なことに、原子力
の利用はまず核兵器から始まった。兵器として使
用されると、最も小型の原爆でさえ一瞬にして数
十万人を殺傷する。しかし平和的に利用されると、
それはまた人類に新しい大きな可能性をもたらす
ものである。
 わが国では1955年に制定された原子力基本法に
よりその利用は平和目的に限られている。原子力
の平和的利用は原子力発電、農業や医療への応用、同位体による年代測定、原子炉より出る中性
子を使っての物質の構造の解明等々、基礎・応用
の両面にわたり広く行なわれているが、ここでは
原子力発電に限って考えてみよう。
 石油危機以来、原発が代りのエネルギー源とし
て注目されてきた。しかし原子力は本当に石油の
代りになるだろうか。現在、わが国で稼動・建設
・計画中の原子炉はほとんど軽水型で、この炉で
は天然ウランの中に約0.7%含まれる同位体ウラ
ン235を2〜3%に濃縮して燃料としている。ウラン
の可能採取量はどのくらいあるのか。年間生
産量は必要量のどの程度まで保証されているか等
を考えると、ウラン資源は決して安定したものと
はいえないだろう。また、安全性についても、相
次ぐ原発の事故や昨年おこった原子力船「むつ」
の放射線漏れ等、何か無理があるように思われる。
 石油発電の大気汚染等、環境保全が大きな問題
になっているが、原発の場合はどうであろうか。
原発は非常に多量の冷却水が必要で、わが国ではすべて海岸に位置している。地盤のしっかりした、都市に近くない所となると、その適地は極めて限定される。立地の困難性から一ヵ所に大型の原発を集中して設置しようとする計画があるが、そこから出る温排水は尨大なもので、付近の海況や生態系に及ぼす影響は見当がつかない。さらに、原発によって低レベルの放射性の排気や廃水が、拡散・希釈により環境に放出されている。低レベルの固体廃棄物は貯蔵されているが、高レベルの使用済み核燃料の再処理法はのこされている。高放射性物質を海洋に投棄することは、国際的に厳禁されている。
 これらの問題はいずれも大きく、困難であり、
単に原理的、技術的問題であるばかりでなく、政
治的、経済的問題を含んでいるように思われる。
もとより筆者の詳論するところではないが、原子
力基本法にうたわれている自主・民主・公開の三
原則にたちかえり、国民一人一人が考え、注視し
なければならない問題である。
 なお、もう一つの原子力のエネルギー源として
の利用である核融合は、現在のところ平和目的に
は地上ではできていない。その基礎的学問である
プラズマ物理学が、各国で研究されている。融合
炉は重水を燃料とし海水中に大量に含まれている
が、実用にはかなり時を要するように思われる。
 原子力に興味をもっている諸君の参考になるよ
うな本を解説しよう。
@ 核分裂、核融合は何故、どのように起るのか。
これは原子核物理学という分野であるが、そのよ
うな難かしい書物でなくとも、原子力、原子核に
ついての科学啓蒙書が多く出ていて、その原理は
納得できるだろう。例えば朝永振一郎著「物理学
読本」(みすず書房)。
A 原子炉そのものの原理、構造について知りた
い時は、多少専門的になるが、グラストン他著
「原子炉の理論」(みすず書房)に詳しい。
B 安全性の問題は、科学雑誌や新聞等に論説が載るので注意しておくと良いだろう。単行本では「原子力発電をどう考えるか」(時事通信社)がまとまっている。なお、原子物理学者が科学と社会の関わりについて次の本を書いている。一読を勧めたい。坂田昌一著「科学者と社会」(岩波書店)、武谷三男著「原子力と科学者」(勁草書房)。

(理学部助教授)


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