さからいっても大した量ではない。その中に日本語文献ばかりを置いた棚があった。概して文学の類が多い中で10冊ぐらいの新刊書が目についた。その一つを手に取って見て吹き出しそうになったのだが、本の名は“報道の自由についで”である。
 中国政府が台湾に特派員をおいている新聞社(たとえばサンケイ新聞)が、北京で取材することを認めていないのは良く知られた事実であって、こんな所にこんな本があるぐらいだから、中国政府当局も報道の自由についはて充分認識しているのだろう。閲覧室に居たあの労働者たちは、これらの日本語文献を見ることができるのであろうか。それどころかこれらの本は本当にいつもここに置いてあるのだろうか。再び意地の悪い疑問が湧いてくる。
 図書館から懇談会場に戻ると、学生代表と称する女性が2人、元教授が1人私たちを待っていた。懇談会が再開されるや皆の質問は、その元教授に集中した。しかしながら彼が目下の研究教育体制について語る口ぶりはいかにも要領を得ない。彼は自己批判をしたためにここに居られるのだという。さらに話をつめてゆこうとすると、
学生代表の女性の1人がかん高い調子で教条主義的な演説を始める。元教授はたちまち小さくなってしまった。
 当然のことかもしれないが、清華大学の研究教育体制については良くわからないままであった。この国には、大学入学試験がなくなっていた。入学を許されるのは人民公社や、工場の労働者農民の中から大衆討論によって選ばれた青年たちである。大学に入った学生の大半は中途で自発的に僻地に行くという。このような状態を中国側は強い調子で正当化するのだが、大学の荒廃した様子は誰の目にも明らかである。そもそも私たちが構内をまわっている間、学生らしき人影にはお目にかからなかったのである。
 中国社会のいたる所で同一の仕方による“改革”が進行中であった。工場や人民公社はともかくとして、大学の研究教育体制までこの“改革”に巻き込んだのは毛沢東の失敗であった。
 それから一年、私たちの見てきた中国の政治路線は正常に戻りつつあるといわれる。この中であの清華大学も荒廃から立ち直りつつあるのかどうを気になるところである。
(経済学部 助教授)

    (昭和52年2月〜昭和52年5月)
受贈図書
 商学部鈴木武教授より同教授著「商業と市場の基礎理論」(ミネルヴァ書房)ほか和書1点
 経済学部田中俊宏講師より Cottrell,P.L.著「Inv−estment Banking in England」1856〜1882,Vol.1−Vol.8 ほか洋書5点
 工学部吉田信夫教授より航空政策研究会編「日・仏、空港シンポジウム航空輸送の現状と将来」(航空政策研究会)ほか和書3点
 医学部宮崎一郎教授より同教授による「昭和51年度文部省科研費(海外学術調査)によるペルー学術調査隊の記録」
 医学部西園昌久教授より同教授著「新しい精神医学と看護−力動的理解と実践−」(医学書院)
図書委員会
 昭和52年4月8日 昭和52年度図書予算について
実地視察
 昭和52年5月27日、文部省から医学部の年次計画履行状況の実地調査があり、これにかかる図書の視察をうけた。
職員異動
 昭和52年4月1日採用 高木秀人(2階サービスカウンター)
           谷口義和(薬学部分室)
           副島登志子(和書係)
           藤原志信(庶務係)
 昭和52年5月1日採用 神近繁義(高宮分室)
 昭和52年3月31日退職 堀 敬三(高宮分室)
最近受入れ、バックナンバー(一部)
1.日本貿易年報 昭和32年−昭和47年
2.近代中国史料叢刊 第19輯−第61輯(599冊)
3.Transactions of the American Mathematical Society.1(1900)−223(1976)
4.Irish University Press series of British Parliamentary Papers,Industrial Relations.1(1968)−44(1970)
5.Schriften zum Offentlichen Recht.3(1959)−264(1975)
6.Bulletin de la Societe de Linguistique de Paris.1(1869)−69(1974)
7.Cuaderaos de Estudions Gallegos.1(1944)−28(1973)
8.Byzantinische Zeitschrift.1(1892)−41(1941)
9.Hesperis.1(1921)−45(1958)
  
           お 知 ら せ
       図書館音楽鑑賞講座開設
 図書館第一共同研究室で、クラシック音楽の鑑賞講座を開きます。解説者には平野春逸教授、渡辺図書館長などを予定しています。
  月曜日16時30分より18時まで
  第1回 6月20日の予定(月2回 休暇中は取り止め)
 希望者は図書館本館、分館、分室に申出てください。

福岡大学図書館報 No.15 1977年5月31日発行
 編集発行・福岡大学図書館(福岡市西区七隈11,TEL092−871−6631)



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