すが住んでいる。ときどき自動車にはねられたりすの死骸を見ることがある。建物と建物の間隔はたいてい数百米あるので、福岡大学のように構内乗入れ禁止というわけにはゆかないので、朝夕のラッシュ時には所々で延々と車の列ができる。原則として、各建物がそれぞれ一つの部門を構成していて、部門毎に図書分室がある。従って NRC の蔵書の多くは各分室に散らばっているわけだが、カードが整備されていて、希望する本がどこにあるか簡単に調べられる。多くの場合、自分で調べなくても、書名を申しでると、どの分室にあっても翌日には取寄せておいてくれた。私のいた部門の分室には、女性の職員が二人いるだけなのに、この点まことに能率的であった。どこかで集中管理しているのかもしれないがきき忘れた。分室の構造はだいたい日本の大学図書室と同じだが、全体にゆったりしている。書庫には一人用の机付き椅子がいくつもあるので、本を閲覧室に持ち出さなくても、ここで用がすんでしまう。運営上大変うらやましく思ったことが一つある。それは図書室の夜間使用である。徹夜実験の途中で、しばしばひとのデータを調べたくなるものだが、そんなとき気軽に図書室に入れると大変好都合である。NRC の分室は24時間開放されていて、研究者はいつでも自由に書庫に入ることができた。管理機構は研究者に便宣を提供するためにあるという考えを随処で感じたが、これもその一つである。NRC の管理部門の重要ポストには有能な研究者が起用されている。彼等はみな第一線の研究者であった人達で、研究者が何を欲しているかをよく心得ている。NRC の研究棟は、建物の出入口そのものが24時間開かれている。一度下宿に帰って夕食後やってくると、玄関に警備員が二人つめている。ここで署名して中に入ると、後は全く自由である。建物の周囲には強力な照明器があって、夜になると建物をまわりから照す。冬の夜、みわたす限りの雪原の中に建物だけが輝やいている光景は実に印象的であった。カナダの電力料金のことはきかなかったが、日本よりずっと安いことは確かである。セントローレンス河を利用した発電所が近くにあるときいて驚いたことがある。太平洋岸近くのロッキー山脈以東は、延々と続く大平原で、オタワの近くに発電に必要な落差をとれる所があるとは思えなかったからである。行ってみると、なる程坦々たる平原の中に発電所があり、ここで180万KWの電力がおこされているというのである。発電量は「落差×流量」に比例することを忘れていたのである。セントローレンスの満々たる水量があれば、落差は大していらないのである。水力発電のためには、山中深くわけ入らねばならない日本と較べて、発電コストは桁違いに安い筈である。その上石油もオイルサンドもウラニウムも豊富とあっては、 まことにうらやましい限りである。石油ショック以後少しは事情が変っていると思うが、日本人からみて、まだまだ優雅な生活が続いていることと思う。
 最近カナダの友人からきた手紙によると、NRC の MR 地区に CISTI(Canada Institute for Scientific and Technical Information)が開設された。総床面積3.4万平方米、蔵書容量200万冊というから、日本の国会図書館の尨大な文献がほとんど入ってしまう大きさで、扱っているのは理工系だけである。館内は上下左右に運搬用コンベアが走り、室温調節は勿論、湿度を常に50%に保って蔵書を保護している。またコンピュータを駆使して、全国の研究者、産業技術者に情報を提供している。希望する専門分野を登録しておくと、世界中の雑誌から必要な文献を選び出して報らせてくれる。これからの図書館は、書物を分類保管するだけでなく、このような情報サービスの機能が要されると思うので、CISTI は今後の図書館のあり方を示すものとして注目される。
 図書館にことよせて、若い国カナダのほんの一面に触れたが、フランス系カナダ人問題、外国資本攻勢、インディアン問題等悩めるカナダについても感じるところは多い。「旅行」ではなく、短い間でも外国で「生活」してみることは、実にいろんなことを考えさせるものである。 
              (理学部 教授)


       昭和52年6月〜昭和52年9月)
図書委員会

昭和52年7月4日 親書館規則の改正について、ほか
実地視察
昭和52年6月23日、私立大学審議会から医学部の実地調査があり、これにかかる図書の視察をうけた。
業務報告
 夏季休暇にともない7月4日から9月12日まで、図書の長期貸出を行なった。
 前期試験に際し、開館時間の延長(20時まで)ならびに日・祝日開館(中央図書館)を行なった。

 
   −図書館音楽鑑賞講座の開催について−
※日時 10月(17日・24日)16:30〜18:00
      11月(7日・21日)
※場所 図書館第一共同研究室
  講座についての問い合せは、庶務係(内線2092)に願います。

福岡大学図書館報 No.16 1977年10月15日発行
編集発行・福岡大学図書館(福岡市西区七隈11,TEL092−871−6631)


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