
No.19.1978.7
細川 潔
| 科学技術の発達に伴い、高度の能率性と便利性を備えた複写複製のための新らしい手段として開発された機器、いわゆるコピー機器は、昨今非常な勢いで発達し普及している。複写機器が、われわれの身近なものとなるにつれて、著作物の複写複製も容易に、かつ、数多くなされる結果、私権としての著作権に重大な脅威を与えるようになって来ている。 元来、著作権制度は、第一義的には著者者等の権利の保護を目的とするものであるが、併せて社会における著作物の利用が、円滑に行われるように配慮し、それにより文化の一層の普及と発展に寄与しようとするものである。このような観点から、現行著作権法は、著作者の複製権専有の原則に対する例外規定を設けている。すなわち、私的使用のための複製、図書館における複製、学校その他の教育機関における複製等、特定の場合に限って著作権を制限し、著作物複製の自由を許容している。これは、著作権者の許諾なくしてその著作物を自由に利用することを認めるもので、著作権の法定許諾あるいは公共的限界ともいわれる。 たとえば、「私的使用のための複製」は、一般には、講義を筆記したり、音楽放送を家庭で、テープに録音したりする場合のように、著作物を個人的にあるいは家庭内や少数の友人間など限られた範囲内で使うために複製する場合には、著作権 |
者の許諾を要することなくだれでも自由に著作物を利用することができる。学術研究の過程においては、研究者は自己の研究課題に関連する種々の文献を参照し、検証を行う等のため、その複製物を必要とする場合が多いが、複製は必要最小限度の部数にかぎられることになる。また法文は、「その使用する者」が複製することができると規定しているが、研究者などが必要な資料を助手などに複写させることは当然許容される。 さらに、大学図書館は、他の公共図書館以上に、たんなる図書管理中心の業務から、研究者のための学術情報センター的な役割を果しているが、この点に関して著作権法は、図書館の公共的奉仕機能に着目して、一定の条件の下で、著作物を自由に複製することを認めている(31条)。 営利を目的としない図書館等は、その所蔵する図書・記録その他の資料(「図書館資料」とよばれる)を用いて著作物を複製することができるが、それは次のいずれかの場合にかぎられる。すなわち、@図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあっては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合、A図書館資料の保存のため必要がある堀合、B他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる |
| 図書館報 | P.2 → |