| から昼間は何の変哲もないものですが、タベの陽の光を受けると、それはいっとき、金色と化するのでした、そして次第にまた元の青に戻り、それがまた深い色に変っていきます、外へ出るとまわりの店には電燈がともり、通りの敷石がにぶく光っています−このシュテッフェルの近くに本屋が幾軒かありました、新本屋も古本屋もです、私がこの本を見つけたのもその一つで、確かそれはヴァイブルクガッセにありました、あるタべ、早い時刻にこの通りを通ってこの店を見つけてひよっこり中へ入って、中は思ったより大きな部屋で薄暗い電燈が幾つか灯っていましたが、奥の右の棚の隅にこの本をみつけました、これです、ごらん下さい、 Franz von Bayros:Das galante Werk, Gala Verlag,1967 別に古い本ではありません、1967年の出版でしょう、たかくもありません、この値段ですから−ただその絵がいいんだなあ−どうです、これなど−薄暗い部屋がある、女が居る、だから男が |
いる、浮世絵のそれのように一部はデフオルマチオンされている、だけれども浮世絵と全く違った感じを受けるでしょう−極彩色では駄目なんですね、これは銅版画ですからね、またビアズレーのそれともちがうでしょう−これなんかもどうです、鍵穴から部屋の中を覗いてみる、中は薄暗く、暖炉の炎だけが明るく、薪を投げ入れるとそれが一時ぱっと燃え上がる、女は部屋の真中に立っている、肢体は炎に照らされてほてっている−というところでしょうか、こういう所をみておかないと、ホーフマンスタールなどはわからないものですから−だから勉強するということはつらいことです、でもいい絵でしょう−この女も細面ですね、眼が鋭いようです、銀髪で、本当は若いくせに一寸年増に見えるといった感じですね、これによく似た顔のひとを実は或る、古い額縁屋で見かけましてね、その女は一どうも時間がないようです、残念ですがこの話はまたのことに致しましょう。 (人文学部 教授) |
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