
No.21.1979.1
三苫 夏雄
| 出版業界は昭和30年代の半から40年代の初めにかけて高度成長をした。その原動力は各種の全集物と百料事典などの大量販売である。その後43年頃になって、大型出版の企画がほぼ出尽したことから書籍の売行きが鈍化してきたのである。 書籍は出版物の過半を占めているので、書籍が表れなくなると、出版以外にも原因が探究されることとなり、先ず槍玉にあがったのが流通機構の非合理性であり、その張本人が委託販売制度にあるというのである。 委託販売制度は、わが国独特のシステムである。アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリー、ソ連などでは書籍は原則として買切である。雑誌はイギリスを除いて委託販売が原則である。わが国では出版界が形成された明治20年から30年代は買切が原則であったが、40年代になって、実業之日本社、講談社が雑誌の全国向大量販売を企画したことから、初めて委託販売制度が取り入れられることとなった。これが全国的流通機構の発端である。買切には慎重さと真剣さがあるが、委託販売には売れなければ返品すればよいという気楽さがある。この気楽さがかえって出版物の流通を発達させたともみれる。 委託販売の推進に拍車をかけたものに、先ず教育制度の普及があり、次にわが国の読者は実物をみて買う習慣があり、更に小売書店の分布密度が高いことがあげられる。小売書店は凡そであるが、日本20,000軒、アメリカ9,500軒、イギリス3,000軒、 |
フランス4,000軒、イタリー5,000軒と推定される。尤も最近はわが国の書店は激減の傾向にある。 返品の原因をそれぞれの立場からながめよう。先ず出版社の過大生産が指摘できる。見込生産だけに経済的発行部数が企画され、各地の小売書店に需要限度を上廻る部数が送られる。次に約2,700の出版社が類似の出版活動をなし、過当競争をしていることである。 流通の面からみれば、取次会社が出版物のより多くの取次をしたいことから、過当仕入をなし、これが過当送本につながっていることである。 更に小売書店の面からみると、売場面積の狭隘さがある。そのことが回転の早い書籍がスペースを占有し、良書に類する売足の遅いものは返品されがちである。書籍全般に通じた人材難も指摘せざるを得ない。 本論の出版物の販売経路について述べていこう。 1.正常ルート 出版社−取次会社−小売書店−読者と流れるルートで、最も中心的なもので7割か8割はこのルートに乗っている。取次会社は55社である。 2.鉄道弘済会ルート 出版社−弘済会本部−国鉄駅売店−読者と流れるルートで、弘済会本部が取次会社の役割をなしている。週間誌が大半であるが、月刊誌や新書類も増えつつある。注目すべきは駅売店の頭打ちを |
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