
No.24.1979.10
宮野 成二
| 教育や研究を推進する上に情報は不可欠であり可能な限り正確かつ広範囲に情報を入手しその解析、整理、統合が必要なことは今さら喋々するまでもない。大蔵省の統計によると昭和42年を1として昭和60年の情報量は70倍になるという。その数字を裏付けるように我々の身辺は情報爆発にさらされている。情報が情報を生み幾何級数的に増大を続けるとすれば、ひとつひとつの情報の価値は当然のことながら相対的に下落するにちがいない。否、我々が日々実感するようにホゴに等しい情報は今や巷に、研究室の書架に、図書館に山積しているのである。 情報や文献はその成果が社会に還元されるため、すなわち利用されるために存在するものである。自然科学者の書架にはモノグラフよりいわゆる定期刊行のジャーナルが圧倒的に多く、人文科学や社会科学のいわゆる “愛書家” や “蔵書家” の対象となるべき性質のものではなく、味読の対象でもない。自然科学者が文献を鑑賞しながら読むことはまれである。自然科学者にとって情報とは input し、integrate して、教育活動や研究活動のために効率よく output するためのものである。とすればこのための手段として最新鋭の情報検索システムが必要となる。 東京大学大型電算機センター内に TOOL−IR(University of TOkyo On−Line Information Retrieval)とよぶ学術文献データのコンピューターを利用した検索システムが設置されている。 |
データベースとしては化学文献(CAS Chemical Abstracts Service),X 線結晶学文献および数値データ(XDC)を対象としたものであり TSS,リモートバッチ、クローズドバッチ、オープンバッチなど種々の方法を利用し検索できる。検索に当って遠隔地の場合、電話回線利用 TSS での検索が便利である。 たとえば化学文献(CAS)の検索、とくに検索項目が数個のキーワードより構成されるものにあっては、 直接 Chemical Abstracts を手引きにインデックスより調査すれは莫大な時間と労力をついやしてなお完全を期しがたい場合がある。この点 TOOL−IR システムでは多数のキーワードで構成される項目検索が容易かつ短時間に達成できる。このような観点から薬学領域の研究にも本システムがその威力を発揮するものと期待し、私の教室より須本博士を客員研究員として東大に派遣したのはこのシステム導入が主目的であった。このたび、東大理学部藤原鎮男教授のご協力を得て薬学部門としては全国で初めて電話回線利用 TSS(端末名 E701)を本教室に設置した。 広く文献情報の収集に利用してその有効性を遺憾なく発揮しているがたとえば我々研究チームのテーマの1つである医薬品関連物質の「構造活性相関」の関連文献検索に当り TSS により〔Structur*〕〔Activity〕〔Relation〕の各キーワードを1次検索後、これら3個のキーワードの集積合にて2次検索の結果、抽出される文献数はノイ |
| 図書館報 | P.2 → |