ただし他の人に貸し出された本を読みたくなった時には、すぐに借りている人に葉書で一週間以内に返却するよう通知がいく。期限までに返却しない場合には、延滞料が課せられることになる。誰が本を借り出しているか、誰が本の請求者であるかについては全く両者とも知ることはできないので、これがトラブルの原因になることはない。
 しかしながら、以上の五点について利益をよく享受しているのは、

充分に図書館を利用している人たちであり、そういう人たちは大学の中で、特に学生の中ではきわめて少数であることは上記の制度のもつコストとして特記される必要があるだろう。米国と日本との図書館、ひいては教育と研究制度における相違はまだ数多くあるが、米国の制度の持つ便益とコストをよく知ることは今後のわが国の制度のあり方を考える上で大きな参考となることは間違いないだろう。(経済学部 助教授)


図書館業務の電算化について
図書館

 学術情報の急増の中で、図書館が資料の発注、受入、整理、管理および利用者への提供という一連の業務を迅速に処理していくためには、マニュアルによる業務の合理化のみならず、電算化によるスピードアップと省力化を図ることが必要になってきている。
 図書館の電算化は、電算センターの協力を得て昭和52年オフライン・バッチ処理による雑誌目録の作成に始まった。その後、センターの保有するコンピュータのレベルアップとともに、教職員および医学部分館常備図書の出納管理から予算(発注)管理、MARC検索と順次にその対象を拡げてきた。昭和61年電算センターにFACOM M-380Rが導入され本格的なオンライン処理が可能となったため、機械化も新しい段階をむかえることになった。
 ところで業務を機械化する場合には、まず現行業務の把握と分析により、業務のネックになっている部分を洗い出すことから始めなければならない。そしてそのネックが機械化により解決されるのかどうかを十分に検討する必要がある。図書館では各部門の業務担当者による研究チームを発足させ、その分析、検討を重ねてきたが、次のような問題点が明確になった。それはまず貸出業務の簡素化についてである。現在利用者は貸出券に学部、学籍番号、氏名、請求記号、著者、書名、登録番号、日付等を記入して貸出を受けているが、利用者にとってはかなり煩わしい手続きである。いっぽう貸出係もこの貸出券を管理し、貸出業務の把握のために各種の利用統計表を作成しており、これもまたかなりの作業量である。利用者サービスの面からも貸出手続の簡素化が求められる。次に利用者と資料の媒体であるカード目録の維持の問題がある。現在図書館は約300万枚のカードを保有し、これに年間約20万枚のカードを繰り込んでいる。このカードの作成からカードボックスに配列するまで3か月前後の期間を要し、そのぶん利用者への所蔵情報の伝達が遅れている。また、カードボックスの増設についても、スペースの面から限界にきている。このほか、年間2万件におよぶ発注資料の管理と納本督促、6,500点をこえる継続受入雑誌の欠号調査と納本督促、それに9学部にわたる図書予算管理等の問題がある。これら図書館がかかえる問題を検討した結果、図書館の機能を維持し、かつ利用者へのサービスの向上を指向するためには、発注、受入、整理、貸出、情報検索を含めた業務の機械化、すなわちトータルシステムの構築が必要であるという結論に達した。
 システムの構築にあたっては、文部省の推進している「学術情報システム」への今後の対応と開発コストの問題、開発期間の短縮等を考慮した結果、図書館総合システム「ILIS」の導入が最適と思われる。また導入に際しては、利用者へのサービスを重視して貸出業務から着手することにし、具体的には、利用者のIDカードと資料に貼付した図書ラベルを端末で読み取る簡便な貸出処理を行いたいと考えている。このためには、現在電算センターを中心に検討が重ねられている学生証等のIDカード化が早期に実現することが望ましい。これと並行して、80万冊におよぶ書誌情報を順次に入力しデータベース化して、利用者が端末からそれぞれ必要な情報を即座に入手できる、いわゆる情報化時代に即応した図書館システムの構築をめざしている。                                
(山本優弘 記)


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