福岡大学図書館ヨーロッパ法コレクション
法学の源流をたずねて-すべての法はローマ法に通ず-
  トップページ資料と解説年表出版地・出版年ギャラリー参考文献
第2部 ローマ法・カトリック教会法の解釈史  
 
No.10
バルトルス『ユースティーニアーヌス学説類集・新部』


Bartolus de Saxoferrato -- Bartoli interpretum iuris civilis coryphaei, in tertium tomum Pandectarum, Digestum novum commentaria.
Basileae : Ex officina H. Froben. et N. Episcopii, 1562.
[32] leaves, 1050 p. ; 39 cm.(fol.)
所蔵情報(OPAC)別ウィンドウで開きます
 
前へ
第2部目次へ
次へ
標題紙
画像をクリックすると拡大表示します
  標題紙中央部分 イタリアでは、注釈学派につづいて、13世紀から14世紀にかけて、後期注釈学派(注解学派ないし助言学派)が成立した。この学派の代表的人物が、バルトルス=デ=サクソフェラート(1313年-1357年)である。その業績は、一方においては、『ローマ法大全』に対する注解であり、他方においては、当時の現実の法律事件に関する助言にあった。
 ここにあげるのは、バルトルスが、『ユースティーニアーヌス学説類集・新部』についておこなった注解である。内容を一見すれば、ローマ法文のテキストそれ自体は、もはや掲げられることはなく、各款ごとに、注解がほどこされている。
 福岡大学が所蔵するのは、バーゼルで1562年に出版された刊本である。これはフローベン家によって出版された。フローベン家は、エラスムスとの親交で知られている。
 フローベンの出版マークは、一羽の鳩が棒の先端に止まり、その左右から二匹の蛇が、棒に体をからませて向かい合っている図である。雲から突き出た手が、棒を支えている。このマークの考案者は、ハンス=ホルバインであった。エラスムスによれば、それは、聖書のことば「蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい」(『新約聖書・マタイによる福音書』第10章第16節)を象徴するものであった。ちなみに、二匹の蛇がからみつく棒は、ギリシア=ローマにおける神々の使者にして商業の神でもあるヘルメス(メルクリウス)の象徴である。
 


Copyright(C) 2006 Fukuoka University Library. All Rights Reserved.