福岡大学図書館ヨーロッパ法コレクション
法学の源流をたずねて-すべての法はローマ法に通ず-
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第2部 ローマ法・カトリック教会法の解釈史  
 
No.11
バルドゥス『ユースティーニアーヌス学説類集・古部』


Baldus de Ubaldis -- Baldi Ubaldi ... Commentaria : doctiss. hominum aliis omnibus hactenus impressis adnotationibus illustrata. ... [I-VIII].
Venetiis : Apud Iuntas, 1599.
10 v. in 8 ; 44 cm.(fol.)
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標題紙
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  標題紙中央部分 バルドゥス(1327年-1400年)は、バルトルスの弟子であり、師とならんで、後期注釈学派を代表する法学者であった。師と同じく、『ローマ法大全』の注解に励むかたわら、実務でも、助言活動を通じて活躍した。なお、かれの兄弟であるアンゲルスおよびペトルスも高名な法学者となった。バルドゥスは、ペルージアで博士号をえたのち、ボローニャ・ペルージア・ピサ・フィレンツェ・パドア・パヴィアで教壇に立った。
 ここにあげるのは、かれの業績のうち、『ユースティーニアーヌス学説類集・古部・前半』についての注解書である。1599年に、ヴェネツィアの出版家ユンタ(ギウンチ)で出版されている。 
 中央上方には、剣と天秤とをもった「正義」がいる。中心には、荒波の巌頭に止まる鷲がいる。鷲にかかる帯には、「鷲のように、おまえの若さはふたたび新たにされるであろう」(『旧約聖書・詩編』第103章第5節)とある。向かって右は剣と天球をもつ「世俗の権力」の象徴であり、左は鍵をもつ「霊的権力」の象徴である。下方向かって左には鼠をとらえた猫を、同じく右には火とかげを配する。上方、向かって左には三美神を、同じく右には、乳を胸から出す人魚を配する。いずれも、出版マークとして頻出する。 
 鼠をとらえた猫は、独立と敏捷さを、また、火とかげ(サラマンダー)は「苦悩に苛まれても、心の平安と神への信頼を失わない正義の人」を象徴する。
 


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