(タイトル)雅文学への誘い
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Ⅳその他

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51. [回文錦字詩] (カイブンキンジシ)
(刊)大本一巻一冊
貞享二年(1685)八月念日

  中国は、四方を外敵に狙われているとして、辺地に兵士を送っていた。北辺を守り、長年帰って来ない夫。故郷に残る妻は、その夫に対する情を一章の詩に作り、手ずから錦にその字句を織り込んで、一本を夫のもとに送り、一本を役人に献上した。この話は時の帝の耳に入り、夫は無事帰されたという。帝を感激させたこの故事は、織錦回文詩や回文錦時詩などと呼ばれて、後世の詩人たちにも詠まれるようになった。
  本書見返しには、紺色摺りで回文の図が刷られている。稀本と言える。江戸時代後期になると、子供向けに解説を施した『回文錦字詩抄』が出版される。

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