16.心機一拂【しんきいつふつ】(外)

(刊)大本一冊(上巻のみ)
寛政十二年(1800)七月序
(江戸)恵斎【けいさい】先生筆
[尾張]永楽堂【えいらくどう】[板]

福大図書館所蔵情報へ このページをPDFで見る
クリック詳細画像

    「寛政庚申秋七月既望 荏土島範題于水西楼」と、島範が寛政十二年に記した序文(一丁半)を巻頭に、 上巻の目録が続き、恵斎の画が画面に繰り広げられる。『国書総目録』には「掃」の字で「心機一掃 三巻三冊、北尾恵斎画、 文化十一年序、明治版あり」とし、漆山又四郎氏も「心機一掃 大本三冊 文化十一年刊 蜀山の序文があって五八丁からの図がある」 (『近世の絵入本』)と、記していることから、寛政期に初版、文化十一年に序を蜀山人(大田南畝)に変えて再版したか。なお、 狩野博幸氏によると蜀山人序を持つ同内容の改題本『恵斎麁画』(刊年未詳)が存在する(『MUSEUM』338号)。この本 (上巻一冊のみ)の画は、「鷹、枯木に木免【みみずく】、柳に燕、雲龍、草子洗、水仙、四睡【しすい】、竹に雀、福禄寿、人麿、 桔梗、蜀黍【とうもろこし】に鼠、梅に鶯、烏【からす】、鷺【さぎ】、梅に福寿草、大黒、枇杷、兔【うさぎ】、鐘馗、 罌粟【けし】、山水、鶏、蓮に翡翠【かわせみ】、王義之、達磨」の計二六図。藁筆のようなやや太く先の粗い筆を主線にした略筆で、 和漢の人物や動植物が描かれる。