25(B).鳥獣略画式【ちょうじゅうりゃくがしき】(内)
鳥、獣、そして龍や獅子という神獣に至るまで略画で描かれた恵斎の絵本。「菫斎閑人」
(通称・岩松菫十郎。江戸・小日向住の儒者)の序によれば、恵斎は閑な半日に訪れた岩松氏宅で、この略画の全てを
描いたことになる。絵は猫・虎・鼠といった獣(六丁半)からはじまって雉・孔雀等の鳥(九丁半)、バッタ・トンボ等の虫
(一丁半)、蛙・亀等の水中動物(二丁半)、金魚・鰹・蝦等の魚介類(四丁半)、計二四丁半。動き、飛び、泳ぐ姿が、
様々な角度から生き生きと描かれる。
(A)本は初版。ただし、表見返し(半丁)に蔵版目録(計十一冊)があり、「恵斎画」として
『略画式』『同職人づくし』『禽獣略画式』の順序で計三冊掲載される。冒頭の『略画式』の項には説明書があるのでやや
後印本とわかる。なお、(B)本は刊年不明で、見返しに「恵斎先生 (角書)鳥獣/略画式」と、ベロ藍(ベルリンブルー)
で摺られ、幕末から明治初年の刷りであろう。同版だが色版が大きく代えられ、別本かと思う程である。