5.逍遥餘適【しょうようよてき】(外)

写)巻子本一軸
文化十二年(1815)成
(筑前)原古處【はら・こしょ】[撰]
(伝)(筑前)斎藤秋圃【さいとう・しゅうほ】[画]

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    原古處自筆紀行詩画巻。 原古處(明和四年(1767) ~文政十年(1827))は名、叔暉【よしあき】。字、士萌。通称、 震平。号、古處・古處山人・山樵・海森鴎。秋月藩士・ 手塚辰詮の次男として生まれ、天明二年(1782)同 藩儒者・原坦斎の養子となり、同七年家督を相続。寛政 十二年(1800)、秋月藩校稽古館の教授となった。
    福岡藩儒・亀井南冥に徂徠学を学び、詩文の名手として聞こえた。 本画巻でも紀行の折に作られたであろう詩作の数々がみえる。文化十二年(1815)暮春から秋までの逍遥が、 漢詩と淡彩の風景画で繰り広げられる。画は秋圃筆と伝えられる。《春景川舟》《湊図》《松原》《錦帯橋》 《厳島神社(鳥居と鹿)》《藤城舟行》《三原月出》《重陽観菊》の計八図。淡墨で描かれた主線にみずみずしく 淡彩が施され、本画巻の鑑賞者を逍遥へと誘う。巻末「帰郷志喜」、五言詩の後、跋文で本巻を「逍遥餘適」と 題した背景を記し、巻末に「文化乙亥南至後一日古處山樵震「原印震平」(朱陰刻方印)「平鼓氏」(朱陰刻方印)」 と旅行同年の署名があるため、帰郷後ほどなくして作成されたことが窺える。