教員お薦めの本

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理学部

公開日:2019年4月2日
推薦者名:宮原 慎

日本人として初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹先生が自身の前半生について綴った回想録。物理学の世界に進み、中間子論に至るまでの日々について、美しい文章で記されている。自身の思い出を振り返り、その歩いて来た道を、優しく客観的な文章で語っており、読後に爽やかな心地良さを与えてくれる良書である。当時の京都の街の描写もすばらしい。
公開日:2019年3月29日
推薦者名: 林田 修

セオドア・グレイによる「世界で一番美しい元素図鑑」の続編です。前作では科学とアートの融合による元素の世界に驚愕しましたが、今作も圧倒的なビジュアルとユーモア溢れる語り口で、分子の世界をわかりやすく解説しています。私たちが普段の生活で目にする身の回りの物質の多くは分子からできています。分子の構造式や美しいグラッフィクスが印象的でわかりやすく、身の回りの物質について分子の観点から楽しく学べます。
公開日:2019年3月22日
  • A course in minimal surfaces
  • Tobias Holck Colding, William P Minicozzi著
推薦者名: 成瀬 慶明

著者のT. Coldling氏とW. Minicozzi氏は、MITの教授で、数学の世界で偉い業績を挙げられた方々です。本書は英文で書かれた本ですが、ものすごく分かりやすいものです。本書では、極小曲面、第1変分公式と第2変分公式、Bochner技法及び最大値原理について詳細に書かれています。大学4年次生から大学院生までの幅広い学生が、興味を持って面白く読めるような内容となっています。卒業論文または修士論文の研究テーマを探している4年生または大学院生に一助になると思われます。ぜひとも一度読んでおくことを薦めます。
公開日:2019年1月10日
推薦者名:田中 尚人

むか~しの算数の本です。ただし、「教科書」ではなくて、当時の授業の様子や、先生と生徒のやり取りを通じて、読み物ふうに書かれています。現在、ほとんど数学と触れ合うことのなくなってしまった、文系のみなさんに、是非とも手に取ってもらいたい本です。この本には、あっちこっちに、日常生活で「あるある」な、具体的な問題が出てきます。先生が出した問題を、生徒たちが生き生きと取り組む様子が描かれています。最初から最後まで、隈なく読もう、なんて思わないで、気に入ったところを読んでみて、面白そうだな、と思った(問い)を、自力で解けるかどうか、挑戦してみてください。紙と鉛筆を用意して、書きながら考えてみてください。試験ではないので、時間なんか、気にすることはありません。どうしても行き詰まったら、視点を変えて、問題をながめてみてください。このように「ちょっと、物事の見方を変えてみる」ということは、日常生活でも、とても大切なことです。試行錯誤しながら、「あっ」と思って計算してみて、ついには問題が解けた時の、うれしさ、爽快感は格別です。ちょっと読んでは、紙に書いて考えてみる、という、本の読み方も、なかなかいいものですよ!
公開日:2018年12月19日
推薦者名:西 憲敬

やや古い本ですが、気象学のみならず科学の考え方についてわかりやすく、しかも斬新な視点で書かれています。各章はわかりやすいお話が続くのですが、ひとつの章を読むたびに新しいことがひとつ身についていくような感じがします。もちろん気象の入門書として読んでも興味深いです。
公開日:2018年4月7日
推薦者名:佐野 友二

本書は対称性をキーワードに数学の世界がどのように広がっていくかを歴史の流れに沿って説明しています。高校や大学で学ぶ数学は、その定理がどのような経緯で発見・証明されたかという歴史的な視点からというよりも、論理的に理解しやすいように再構成された視点から紹介されます。しかし、教科書に理路整然と説明されていることでも、それを手に入れるために多くの紆余曲折があります。本書は数学の内容だけではなく、それがどのような人々によって発展してきたかを魅力的に描いています。古くはユークリッドから始まり、オイラー、ガウスやガロアと言った教科書にも出てくるような数学者やアインシュタインなどの物理学者までその人生と功績が紹介されています。数学に関する本ですが数式はほとんど出てきませんので(にも関わらず数学的内容は損なわれていません!)数学が苦手な人でも楽しめるかも知れません。数学が好きな人は是非大学で数学を学ぶ前に一度読んでおくことを薦めます。きっと大学の講義が魅力的に感じられるはずです。

公開日:2018年4月7日
推薦者名:御園 雅俊

大学教員の立場、とくに入学試験の答案を採点する立場から書かれた受験技術の本。と書くと、すでに入試を終えて大学生となったみなさんには関係ない本だと思われるかもしれません。しかし、大学入試など30年以上前にクリアした私がいま久しぶりに読み返して、この一冊をぜひ若い皆さんに読んでほしいと思い、推薦することにしました。そもそも、野矢茂樹氏による文庫版解説にあるとおり、"率直に言わせてもらえば、本書は多くの学生諸君にとっては入試対策になっていない" のです。
森毅先生は、画一的な根性第一の受験勉強を否定し、"精神主義というのは、技術の反対物であって、技術こそ個性的であり、そして、個性的であることによって、普遍的になれるものだ" と述べています。つまり、この本では、学ぶこと、生きることにどう向き合うべきか、この点についての普遍的な考え方を述べています。森毅先生一流のフニャフニャ軽薄で、それでいて実は堅固な骨格を持つ文章は読みやすく、あっという間に読み終えてしまうことでしょう。
公開日:2018年3月16日
推薦者名:林田 修

題名に違わず、本当に美しい元素の図鑑です。本書では、写真の美しさもさることながら、それぞれの元素に付された科学的な知見にもとづいた解説が秀逸です。それらはユーモアに溢れ、元素の発見の経緯、ユニークな性質や用途について、さまざまなエピソードや意外な物語を交えながら描写されています。これまで元素記号といえば、「暗記するもの」と考えていたような化学がちょっと苦手といった方にもお薦めします。本書を手にとって眺めれば、この世界にあるすべての物質を作っている元素に対する見方がきっと大きく変わります。
公開日:2018年3月9日
推薦者名:田中 尚人

「算法少女」とは、もともと江戸時代(安永4年、1775年)に町医者の千葉桃三とその娘あきによって書かれた算法(数学)の本のタイトルですが、ここで私がみなさんに紹介したいと思っている遠藤寛子著「算法少女」は、桃三とあきが、この本を書くまでのいきさつをモチーフにした、少年少女向けの歴史小説です。江戸時代に、お父さんに教わりながらとはいえ、町娘のあきちゃんが、それも「算法少女」という、今でも十分に通用する、可愛らしいタイトルの数学書を出版していたなんて、ちょっとびっくりですよね。読むのに数学の知識は一切いりません。はらはらどきどきしたり、ほろっとしたり、楽しませてくれます。
桃三とあきが書いた「算法少女」にのっている数学の問題を解いてみたい、というみなさんには、小寺裕著「和算書「算法少女」を読む」がお薦めです。

公開日:2017年4月12日
推薦者名:武末 尚久

本書には、長さや重さの単位をどう決めるか、という科学史が書かれています。皆さんご存知の長さと重さの単位となるメートルやキログラムは、従来では「原器」と呼ばれる人工物を基準としていましたが、長さの伸縮や重さの増減のために、信頼性が揺らいできました。長さについては光の速度を基準とすることが決まり、その方向性の枠組みはある程度決まりましたが、2014年11月の国際度量会議でキログラムを再定義することになりました。これは、原子レベルの測定をベースとするものです。本書の第12章の「さらばキログラム」は、キログラム原器との分離とキログラムの再定義を詳述しています。
公開日:2017年3月29日
推薦者名:武末 尚久

学生の皆さんは、講義の演習、試験、実験、卒業研究などで、色々なミスをしてしまう場面が多々見られるようになってきますが、ミスが功を奏することもあるのです。実は、ダーウィンやアインシュタインなど、輝かしい研究業績を残した偉人たちは、大きなミスをしております。が、このことが、結果的に科学の発展の原動力となったり、後に誤りではないことが判明したりと、彼らのミスは彼らの業績同様に並外れていたようです。この本を読んで偉大なミスがあるということをを知ってください。
公開日:2017年3月29日
推薦者名:武末 尚久

理学部物理科学科では、大学の物理学を基礎から分かりやすく教えますが、学生皆さんの学年が進むにつれて、専門科目の勉強に、どうやら多大な労力を費やせざるを得なくなるようです。専門科目の中でも量子力学は、面白いが難しい、という印象を持つことでしょう。この本は入門書の入門書ぐらいの本で、量子力学を受講するにあたって、事前に読んでおくと、その基本的な考え方や、発展してきた歴史、そして将来像がつかめると思います。
公開日:2017年3月23日
推薦者名:固武 慶

著者は、電磁気学と量子力学を融合させた量子電磁気学における積年の問題であった発散の問題を克服する理論(繰り込み理論)を提唱し、ファインマン、シュウィンガーと共にノーベル物理学賞(1965年)を受賞した世界的な物理学者である。難解な繰り込み理論や、量子力学における観測の問題など、本書では対話形式で平易に解説されており、非常に興味深い。
また、著者のドイツ留学時の日記が秀逸で、思うように結果を出すことが出来ない焦燥感、同僚たちの活躍に対する焦りなど素直に表現されており、壁にぶち当たったとき本書を読むと勇気づけられる。朝永クラスの天才でも悩んだんだから、ましてや凡人が大いに悩むことなく、少しでもインパクトがある仕事を成しえるはずが無いことを再確認できるからだ。
公開日:2017年3月3日
推薦者名:成瀬 慶明

本書は線形代数学の自習になることを目的として作成されている。原則として、まずやさしい例あるいは2次元や3次元のケースを紹介し、その後に理論的あるいは高次元のケースの解説している。
第1部では行列の基本変形、行列式、固有値と固有ベクトルの計算及びその応用を解説している。特に、行列や行列式の理論面の解説を重視している。第2部では抽象的線形代数学の初歩理論を紹介している。線形空間の一般理論、線形写像の行列表現及び線形写像の固有値や固有空間理論を解説している。第3部では内積空間の一般理論および行列理論の応用を解説している。
第1部の内容は理学系の大学初年度相当の学習内容である。第2部は抽象的理論を重視した抽象的線形代数学の解説であるが、解説内容をその入り口部分に限定しているので、理学系の大学2年次前学期相当の学習内容である。第3部は理学系の大学2年次後学期相当の学習内容である。
公開日:2016年4月2日

推薦者名:香野 淳

メートル[m]、キログラム[kg]、秒[s] などは、現代に生きる私達にはなじみ深い単位であり、あまり気に掛けることなく日常的に使っている方が多いと思う。しかし、メートルとキログラムを基本とする単位系を国際的に導入することになったメートル条約が締結されたのは、ほんの140年ほど前(1875年)のことである。
本書は”World in the Balance: The Historic Quest for an Absolute System”の翻訳版であり(原著のサブタイトルが内容をよく表していると思う)、内容はメートル、キログラム、秒などから成る基本単位系(国際単位系:SI)の成立に至る歴史、社会や文化と単位との関係に関する歴史であり物語であり、文献やインタビュー、実在の資料を基に丹念に描かれている。物語の前半は各地域(中国、西アフリカ、ヨーロッパ)で使われてきた単位がその文化とどのようにつながっているのか等が描かれており、後半の物理法則を基にする究極の単位、普遍的な度量衡体系へとつながっていく。前半の章では、国際単位系(ある意味で生活の実感と切り離されたところで定義される単位系)がどうしてヨーロッパで提案され、それが国際的に成立するに至ったのかという点や、フランス革命との関連や国際社会の動きなどは非常に興味深い。
科学史、科学哲学の専門家である著者(R. P. Crease, Professor in the Department of Philosophy at Stony Brook University, New York)の目を通して描かれた歴史、物語であり、多くの方に楽しく読んで頂ける一書と思う。英語に自信のある方は原著を読まれるのもよいかもしれない。

公開日:2016年3月31日

推薦者名:成瀬 慶明

著者の浦川肇先生は、東北大学で長く教授をされ、幾何学で世界的な業績を挙げられた方である。一方で、大学の数学教育にも大きな関心を持たれ、学部生及び大学院生向けの教科書を多数執筆されている。
この本は、コンパクトなリーマン多様体上のスペクトル幾何理論の大綱を展開することを目的としている。特に、ラプラス作用素の固有値と固有関数の振る舞いについて詳細に書かれている。
この本は大学3年次・4年次から大学院生までの幅広い学生が、興味を持って面白く読めるような内容となっている。ラプラス作用素の固有値と固有関数の振る舞いに関する最前線の研究成果を分かりやすく記述されているので、卒業論文または修士論文の研究テーマを探している4年生または大学院生に一助になる本と思われる。 

公開日:2016年3月31日

推薦者名:祢宜田 啓史

ランダウは、凝縮媒質とくに液体ヘリウムの理論に関する先駆的研究、で1962年にノーベル物理学賞を受賞した旧ソ連の理論物理学者である。ランダウが書いた著書は優れたものが多く、私自身、学生時代に統計物理学や電磁気学に関するランダウの見事な理論展開を知り、このような仕事ができないものか、とも思ったものである。このランダウの影響を受けて育ったマイヤ・ベサラプが、アブリコソフなどの話を基に書いたのがこの本である。是非一読していただき、ランダウの物理学への情熱を感じとっていただけたらと思う。

公開日:2016年3月30日
ニュートン別冊 「高次元の物理学」  36巻5号 2016年4月5日発行  

推薦者名:武末 尚久

 この我々が住む世界は、縦・横・高さからなる「3次元空間」であると考えられるのが普通。ところが現在、その普通の世界観をくつがえす、いくつかの理論が提唱されており、物理学者たちの大きな注目を浴びている。それら理論では、空間について物理学の理論を突きつめていくと、次元は3では足りず、高次元空間を考えざるを得ないことになった。結果、ある理論では、宇宙は9次元空間であることが主張されるなどの事態になった。しかし、我々が高次元空間をイメージすることは大変難しい。3次元を超える高次元空間に、縦・横・高さ以外の何の次元をどう取り入れるのか、大変悩ましい。
 本書では、この疑問に答えるべく、次元のことが基礎から優しく解説されている。そして、その内容は、物理学者が考える高次元空間とはどんなものなのか、高次元という考え方がなぜ必要なのかに迫っていく。
 今のところ、高次元空間は理論的に予言されているだけであるが、現在、理論を実証するための実験が行われている。本書ではそれらの実験についても紹介されている。もし高次元の実在が証明されれば、人類の世界観を一変させる大発見となる。
公開日:2016年3月30日
  • 量子力学で生命の謎を解く
  • ジム・アル=カリーリ, ジョンジョー・マクファデン著
推薦者名:武末 尚久

 量子生物学とは、量子力学の言葉で生命現象を記述しようとする科学の一学問である。この学問では、通常量子論で語られる原子や素粒子よりも大きい巨視的な次元に、量子論が当てはめられる。この学問の研究分野で研究されている生命現象は、

特定の周波数の放射の吸収(光合成や視覚)
化学エネルギーの運動エネルギーへの変換
動物による地磁気の認識(磁覚)
酵素反応におけるプロトントンネリング

などである。本書は、これらのことに関する謎が、この学問によりどのように解決できるかをひもといている。さらに本書ではもっと踏み込んで、人間の精神活動、生命の起源、そして生と死の違いもまた、量子力学に基づいて説明できるのではないかと説いている。古典的なレベルで説明できないこれらの現象を、現代物理の柱の一つである量子力学で説明することは、違和感のない現代科学的アプローチと思われる。
公開日:2015年6月10日
推薦者名:武末 尚久

生物の現象や機能は、つきつめるとすべて物理学の法則に従っている。肘にかかる力は固体力学で、血流の乱流は流体力学で、神経の活動は電磁気学で説明され、個体から細胞、分子レベルまで物理法則が支配している。本書では、主に細胞、組織、個体というマクロな生物現象の理解に必須の物理学が分かりやすくまとめられている。また、多くの例が挙げられており、しかも定量的な考察が多いので、実感としてとらえやすい。さらには、人体の主要器官についての解説はもちろん、昆虫の飛翔など幅広い話題が取り上げられている。学生諸君が知る基本的な物理法則が、どのように生物学や医学に応用できるのかを、ぜひ楽しんでもらいたい。
公開日:2015年6月8日
推薦者名:寺田 貢

本書は、多くの話題を集めたSTAP細胞の顛末を、その発端から結末まで取材した新聞記者の目を通して描いたドキュメンタリ作品である。内容については、ご一読ののち、ご確認いただければ考える。
この一件で、話題になったものとして「割烹着で実験」、「ムーミンのイラスト」など数々あるが、やはり「リケジョ(理系女子)」という言葉であろう。筆者の須田氏は、別の著作として、iPS細胞の山中教授の取材記もあり、早稲田大学の大学院で物理学の修士号を取得したれっきとした「リケジョ」であるところが興味深い。福岡大学にも多くの「リケジョ」の皆さんが在籍している。ただ、これからの時代を担う若い科学者は、男女の区別などにはこだわらず、世界に羽ばたき、活躍していただきたい。
公開日:2015年6月8日
推薦者名:祢宜田 啓史

授業中、脇目もふらずにネットゲームを行っている学生を見つけ、注意をしたことがある。このようにネットゲームの虜になって、そこから抜け出せない学生もかなりの割合でクラスにいることも分った。そこで、このような中毒症状のことについて知ろうと思い、探したのがこの本である。この中毒症状はネット依存症と呼ばれ、簡単にこの状態になってしまうようである。そして、一度なってしまうと、脳の状態の変化によって、なかなか元の状態に戻ることが難しい病のようである。この病気を専門的に扱っているのは、現在のところ国立の久里浜医療センターだけであり、著者はその病院長である。ネット依存症に関する本は、これ以外にも多くある。気になる方は「ネット依存症」というキーワードで検索し是非読んでいただきたい
公開日:2015年4月10日
推薦者名:武末 尚久

物質科学。この学問の発展なくしては、我々の現代の豊かな生活は実現し得なかっただろう。
この学問では、物質中の原子の配列を知ることが何よりも重要である。原子の配列は、一般的には、アボガドロ数レベルの多数の原子が平均的になすものであり、個々の原子の配列は、平均の配列からずれている。この配列のずれは「ゆらぎ」と呼ばれる。通常、個々のゆらぎを観測することは大変困難であるが、物質全体で原子が協力し合えば、興味深い現象として検出され、その現象を解析すれば、ゆらぎを統計的に表現できる。得られる解析結果は、物質の性質を理解するために、そして科学技術に応用するためにも必要不可欠である場合が大変多い。
本書は、物質科学を深く探求しようと志している学生諸君には、ぜひとも読んでもらいたいバイブル的存在のものである。
公開日:2015年3月31日
推薦者名:陶山 芳彦

高校で習った平面幾何の定理―パップスの定理、チェバの定理、メネラウスの定理等―は、射影の考え方を知ることにより、その定理の持つ新しい幾何学的な内容が見えてくることになるだろう。
この本は、大学初年度から3年次・4年次までの幅広い学生が、興味を持って面白く読めるような内容となっている。
特に、射影幾何は大学のカリキュラムには含まれていないが、数学教員を目指す学生にとっては、この射影の考え方を理解していれば、教員として平面幾何を講義する際に、他の先生と異なる面白い講義が出来ることになり、学生の好感度を上げることも出来ると思われる。
公開日:2014年7月21日
  • 物理
  • マイケル・ブルックス著 ; サイモン・ブラックバーン編 ; 久保尚子訳
  • 420/B76/1
推薦者名:武末 尚久

物理学には探究すべきことがたくさんあります。時計を見ては、時間の性質について思いを巡らせ、太陽の光を感じては、遥かかなたで起きている核融合を想像する。さらに「光とはなにか?」と問いかければ、自然界の最も深遠な謎に首を突っ込むことになります。
本書は、時間とは何か、重力とは何か、光とは何か、といった基本的な問いから、量子論とは何か、ひも理論とは何か、といった俯瞰的な問いにわたる様々な問い対して、現代の物理学がたどり着いた回答をコンパクトに提示します。
本書を読み終えたとき、物理学の全体像が把握できるとともに、物理学について新たな思考が身につくでしょう。
公開日:2014年5月29日
推薦者名:祢宜田 啓史

阪大理学部化学科で、「物理化学」研究室の教授をされていた関集三先生が、自分がやってこらえた熱物性の研究を、化学に興味の持っておられる方々に語られたものである。話は、先生の恩師である仁田勇先生の研究室に卒論生として入られたところから始まる。続いて、自作された装置の話、ガラスをはじめとする固体の相転移、界面活性剤の相挙動、などが取り上げられている。特にガラスに関する内容は、先生のライフワークであり、非常に読み応えがある。
公開日:2014年5月28日
推薦者名:武末 尚久

この本は、物理学に関する「パラドックス(いろいろな楽しい難問)」とそれらの解説からなります。この本を読んでいくと、高校、大学の物理の知識が活かされることが分かります。また、この本の内容は、物理を学んでいない人と雑談をするときの話のネタにもなります。この本を読んで、直感力、論理的思考力、批判的思考力を養って下さい。
公開日:2014年4月7日

推薦者名:武末 尚久

著者は、マサチューセッツ工科大学の教授であり、物理学の教鞭をとっている。この本は、著者が行った講義をまとめた書である。著者は、物理学の基礎が「人に感動を与える 美しいもの」であることを説いている。インターネットで無料視聴できる著者の講義では、「物理を体感する」様子がよく分かる。

公開日:2014年4月5日

推薦者名:陶山 芳彦

著者の小林昭七先生は、アメリカの超一流大学であるカリフォルニア大学のバークレイ校で長く教授をされ、幾何学で世界的な業績を挙げられた方である。一方で、日本の大学の数学教育にも大きな関心を持たれ、この事に関しても色々の形での提言をされている。
この本は、先生のエッセイ集であり、先生の数学に対する思いが数学を研究する研究者本人への興味にまでも及んでいる。何も難しい数学が書かれている本ではないので、楽しく読める事と思う。
特に現代数学の源泉としてのギリシャ数学の紹介の部分も興味深く読めるのではないかと思う。数学の先生を志望する学生には、特に、一読を勧める。
最後に本応用数学科と先生との繋がりについて述べておく。
先生は2003年の8月に逝去されたが、その前の10年以上に亘り本応用数学科に毎年1ヶ月滞在された。この滞在中には、何度も学部学生に対する講演や先生方に関する講演をしていただいた。従って、先生は私達の学科にとって大変親しい方であった。

公開日:2013年7月9日
推薦者名:秋山 獻之
 
良い先生、良い数学者に出会うことは、数学を志すときに非常に大きな要素である。ここでは、16人の数学者により、それぞれの数学者との出会いが書かれている。専門分野の記述も多く、分かりにくいところもあるが、良い数学者との出会いが数学を学ぶ力になることを感じることが出来るだろう。
公開日:2013年5月1日
推薦者名:秋山 獻之
 
20年以上前に「数学セミナー」に連載されたものをもとに再編集したものである。今読むと、現在の数学教育やそれによって育った学生を危惧して一石を投じたものであるともいえる。「美しい数学は詩なのです」と語る著者の思いが数学コンプレックスを軽くしてくれる、心やさしい数学再入門である。
公開日:2013年4月17日
推薦者名:川田 知

日本史を「金属利用の歴史」を通して概観し、科学史、技術史、さらには産業遺産の立場から肉付けしたものが本書である。文献に基づく金属利用の歴史に物足りなさを感じていた読者には、目の覚めるような内容となっている。今までの金属史は、全面的に書き改められるのではないだろうか。採鉱から精錬、加工までの過程を歴史としてとらえると同時に、微量分析技術を駆使して本質に迫っていく。日本独自の技術が渡来人とともに生まれていく過程は、特に興味深い。考古学を志す学生諸君にも是非読んでいただきたい。
公開日:2013年4月1日

推薦者名:山本 大輔

量子力学の創造に深く関わったシュレディンガーが生命の本質を追求した書。遺伝子の分子的基盤が確立されていなかった時代に、理論物理学者ならではの洞察で生命の本質に迫ろうとしている。本書に刺激された研究者らによりDNAの二重らせん構造が発見され、その後の分子生物学の発展へ大きな影響を与えた名著である。

公開日:2009年4月17日
推薦者名:石黒 賢士

百年来の難問「ポアンカレ予想」を解決したロシアの数学者ペレルマン氏が、2006年に数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞の受賞を辞退し数学界が衝撃をうけた。
同氏は断った理由を「自分の証明が正しければ賞は必要ない」と説明した。
本書は多次元の空間を分類する条件を示したものである位相幾何学(トポロジー)の問題とその解決までの道のりを語っている。また、フランスの数学者ポアンカレ氏を含む
トポロジーの歴史についての記述も興味深い。
公開日:2009年4月7日
推薦者名:塩路 幸生

人間活動により排出される温室効果ガスが原因で、21世紀の地球が温暖化するのはほぼ確実なようで、人類には、低炭素、共生、循環型社会の実現が求められている。人体の生理的メカニズムを解明することによって病気を治療あるいは予防するのが医学だとすれば、地球の医学とでもいうべき学問が「環境学」である。「環境学」を学ぼうとする皆さんにおすすめする一冊。
公開日:2008年9月25日
推薦者名:石黒 賢士

ノーベル経済学賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュはアカデミー賞映画「ビューティフル・マインド」(2001年)のモデルとなった。専門分野はゲーム理論。この本はナッシュが作った基盤の上にゲーム理論がいかに多様な形でいかに広範な科学の分野に応用されているかを紹介している。経済活動や人間の行動、生物進化の過程まで「自然の法典」を解き明かす可能性が期待される。
公開日:2008年3月31日
推薦者名:吉田 守

本書は約30年前に「若き数学者のアメリカ」という随筆でエッセイストクラブ賞を受賞された数学者で随筆家でもある藤原正彦氏の最近の随筆集である。その受賞作品を著す契機となった父君の新田次郎氏との対話とか、最近巷間話題になった小川洋子氏の「博士の愛した数式」の出版に関わる話などがあって、何事にも由来があるものだなあと思い、興味深い。尚、著者の藤原氏は文明評論に関して独特の一家言を持っておられるようだ。
公開日:2007年4月3日
推薦者名:上野 勝美

 地球46億年の歴史は,カンブリア爆発とよばれる5億4300万年前のできごとを境に2分される.この時,海生無脊椎動物の爆発的多様化が起こり,同時に多くの系統で硬組織(骨格)をもつグループが現れる.では,カンブリア爆発はいったいなぜ起こったのか?
 本書は,カンブリア爆発の原因に関する著者の仮説「光スイッチ説」を紹介した,科学的読み物である.それによると,三葉虫という海生無脊椎動物の1分類グループ(節足動物)が初めて「眼」を獲得,つまり太陽光線という視覚信号を本格的に利用し始めた.これにより捕食者・非捕食者の関係が突然激化し,それが主要な淘汰圧となりカンブリア紀はじめの海生無脊椎動物の爆発的進化を引き起こしたというのである.古生物学者が,残された数少ない「ピース」を手がかりに,どのように「パズル」を組み立てていくのかを肌で感じることができる本である.
公開日:2007年4月2日
推薦者名:御園 雅俊

ファインマンは、くりこみ理論の研究により1965年にノーベル物理学賞を受賞した。この本は、そのファインマンが量子電磁力学を易しく解説したものである。ガラスによる光の反射のような身近な例から始まり、光と電子の相互作用や素粒子論までが、分かりやすく、楽しく書かれている。物理の楽しさを知る、あるいは再認識するのに好適。
公開日:2007年4月2日
推薦者名:安藤 功

自らが創り出した化学物質により人の生活は豊かになりましたが,一方では健康リスクを負うことにもなってきました。公害病などで不幸な歴史に学び,現代社会が抱える諸問題をのりこえ化学物質と賢くつきあうための方法を提言しております。是非一読し化学物質に対する理解を深めて下さい。
公開日:2006年10月2日
推薦者名:石黒 賢士

第一回本屋大賞に輝く大ベストセラーであり、映画化され2006年1月に公開されたので、本書を記憶している人も多いだろう。記憶を失った天才数学者と幼い息子を抱えて働く家政婦の出会いと幸福な一年のラブ・ストーリー。随所に数学的事実が引用されているが、「博士の愛した数式」とはオイラーの公式と呼ばれるもので、複素数の世界において三角関数を "べき乗 " もしくは "指数" 関数に統一する美しい公式である。
公開日:2006年10月2日
推薦者名:石黒 賢士

相対性理論と量子力学、現代物理学の柱とも言えるこの二つの理論が、実は両立しない、つまり、この両方が完全に正しいということはあり得ないのである。アインシュタインをはじめ数多くの研究者たちがこの対立を解消しようと試みたが、挫折した。しかし、超ひも理論 (Super String Theory) という数学的理論の登場により、この物理学の難問は解決されるというのが本書の主題である。
公開日:2006年10月2日
  • 素数の音楽
  • マーカス・デュ・ソートイ著 ; 富永星訳
  • 412/D93/1
推薦者名:石黒 賢士

「数の原子」と呼ばれる素数の分布は予測不可能である。本書は、豊富なエピソードとともに世紀の謎「リーマン予想」に挑む。 混沌しか見えないところに構造と秩序を見つけようと幾多の研究者たちが心を虜にされた素数。「フェルマーの最終定理」以上の、世紀をまたぐ超難問を軸に、数学者たちの横顔と挑戦を描いていくノンフィクションである。