図書館統計の     
      国際基準設定
 
                     ―その1― 
                  森 田 優 三 

もちろんこれらの資料はきわめて不完全かつ不統一なものであったが、長年の研究と改善への努力の結果、最近になって漸く図書館統計の国際標準化を考えることが可能な時期になったという判断に到達した。そしてユネスコ事務局は1967年度の事業の一つとして「図書館統計の国際標準化に関する予備的研究」を行ない、その報告書を執行委員会に提出してこの問題を総会で正式にとりあげることを要請した。この要請は採択されて1968年のユネスコ第15回総会に上程され、総会は図書館統計の国際標準化を必要と認めて次回総会(本年10月開催)までに国際標準の原案を作成して提出することを事務局に要請した。今回の専門家会議はユネスコ事務局が準備した原案の最後の仕上げのために招集されたものである。
  もちろん国際標準化といっても、加盟国に対して現在の統計のとり方を中止して新しい方法に変更することを強要するわけではない。各国の統計のとり方を標準案に従って調整し、自国の必要な資料を得ると同時に国際比較のできるような内容のものにしようというのである。標準案の主たる目的は加盟国が国際比較のための図書館統計の報告(ユネスコに提出する)を作成する際の手引きを提供することである
                ユネスコ本部

 去る5月19日から28日までの10日間、パリのユネスコ本部で、図書館統計の国際標準に関するユネスコ加盟国への勧告案を審議するための専門家委員会が開催され、私は日本ユネスコ国内委員会に委嘱されてこれに出席した。会議参加の一般的な印象などについては本学の「学園通信」にも執筆させて頂いたので、この図書館報では決定された勧告案の内容等について多少具体的にふれ、本誌を通じて全国の図書館関係者各位への報告にもさせて頂きたいと思う。本号ではとりあえずこの間題の今日までの経緯と今後のとり運びについて簡単に述べておこう。
 図書館活動はユネスコがその目的とする加盟各国、特に後進地域の文化水準向上のための有力な手段の一つとして、創立以来強力にとりあげてきた項目の一つである。そのためには何よりもまず各国の図書館活動の実状を把握することが必要である。従ってユネスコでは創立以来図書館に関する統計資料の蒐集に深い関心を払ってきた。しかし図書館統計は先進国の間でももっとも立ち遅れている統計分野の一つである。たとえばわが国についてみても、僅かに大学図書館の実態調査が毎年行なわれているのと、公共図書館について不定期の社会教育調査の一部として統計資料がとられている以外に、図書館活動についての統一的な統計調査は行なわれていない。(昭和43年までは学校基本調査の中で附属図書館の調査が行なわれていたが、44年以降は中止されている。)
 図書館統計を国際的に標準化しようとする努力は1926年にさかのぼることができ、その活動の推進母体となったのは主として国際図書館協会連合(IFLA)であったが、その活動は容易に実を結ばなかった。ユネスコは1950年にその職制の中に統計部を設けて以来、lFLAと協力して図書館統計の国際比較の面からみた改善のプログラムを進めてきた。そして1955年から2年ごとに加盟各国から図書館統計のデータを可能な限り徴収している。


← P.2 図書館報 P.4 →