No.8.1972.9.


図 書 館 今 昔 の ひ と こ ま


元図書館長  佐  藤  敏  章



 私が本学図書館の仕事に関し、二度の兼務を命ぜられましたのは、もう十五、六年前と七、入年前のことになりましょう。あの頃の図書館に比較してみますと、現在は驚くべき発展振りで、全く隔世の感を深くするばかりです。ただいまの図書館は係り職員数の増加、建物の外観や環境の良さ、内部構造や整備状況、蔵書数、図書予算額など人的、物的方面にわたり、飛躍的発展をたどられつつあることは、日本の私学界においてトップクラスをゆくほどの状勢で、誠に御同慶の至りに存じます。
 以上のように快適で整備された図書館をもつ我々は、研学上、このうえなく恵まれた境遇にあると思わなければならないでしょう。ところで、そういうなかで考えたいひとつのことは、学生の図書利用の状態はどうかということです。申すまでもないことですが、この点がヨリ本質的、基本的な発展の要素となるでしょう。しかしこのことを高揚せしむることは、言うは易く、行なうは難しのたぐいで、極めてむずかしい問題でしょう。けれどもこの点も、以前よりは着々と向上線をたどっていることとは思いますが、学生の読書欲増進のために我々一同、このうえとも一層のくふうをこらさなければならないかと思われます。
 それから終りにもうひとつ付け加えさせていただきたいことは、学生に対する図書開架率の問題です。この点が図書利用上如何に利便であるか、利用せんとする図書の内容の要点をあらかじめ検索することが出来、選択のための時間と労力とを節約することが出来ることになり、ひいては其のことが学生の読書欲を高めるうえに、どんなに有効な措置となるかという点と、その反面において、この方法にともなって図書管理上発生する、いろいろな厄介な問題をどうして克服することが出来るかということ等については、これまた充分に御検討ずみのうえで実施されつつあることと思います。私が任にありました頃は、理窟の上では上のような点はわかりきっておりましたけれども、いろいろな理由で其の機が熟せず実行できなかった次第です。ひるがえって現在の我々の大学のように、社会科学部門と自然科学部門とが、多学部に分化されている場合には、このオープンシステムの問題は、理想的にはそれぞれの部門別開架と共通部門開架とに分けられることになるでしょうが、これら両部門間の相関々係を適切に保持するためには、当局の方々はなみなみならぬ苦心を払われていることと察します。もしも現在より更に開架対象を拡充するとすれば、どういう図書をえらぶべきかという点についても相当の熟考を要することでしょう。しかしとにかく以上のようなオープンシステムの利点をますます発揚せしむるために、諸般の条件を勘案された上で、更に一段の御配慮をかさねられるよう希望して筆をおきます。                 (商学部教授)



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