図書館報
No. 51. 1988. 7


イギリスの大学図書館
アリ M. エルアグラ
(川合 研 商学部教授 訳)

 これから、私がイギリスで奉職していたリーズ大学の図書館についてお話ししますが、その前に、リーズ大学の図書館について言えることが必ずしも40いくつあるイギリスの大学の図書館すべてに当てはまるわけではないということをお断わりしておきます。
 リーズ大学の主要な図書館はブラザートン図書館とエドワード・ボイル図書館の二つです。後者はすべての科学関係の雑誌と図書、さらに芸術や社会科学専攻の学部学生のための教科書(イギリスの学生は書物や雑誌の値段が高い場合、それを自分で持つより図書館で借りることが多い)を所蔵しています。ここにはまた視聴覚関係のセクションも置かれています。ブラザートン図書館は芸術や社会科学関係の雑誌と書物、またこれらの分野の教科書を所蔵していますが、さらにここにはブラザートン・コレクションのような特別コレクションも置かれています。この図書館はまた教育関係の図書と雑誌、政府刊行物、および国連、OECD、ECなどの国際機関の出版物を所蔵しています。
 これら二つの図書館とは別に、リーズ大学には、医学部図書館、法学部図書館などのいくつかの図書館があり、法学部図書館には法学関係の図書のほかに、EC関係の全出版物が所蔵されています。さらに、ほとんどの学部に研究用図書館があり、それぞれの分野の雑誌、統計類を所蔵しています。
 このように図書館が充実しているのは、イギリスの教育システムが主として個人学習を重んじるというところからきているのです。

実際、イギリスには世界中のあらゆる出版物を集めた国立の図書館が二つあり、大学の図書館にない書物はここで借りることができます。また、イギリスの大学のスタッフや学生、さらに一般の人も身分証明書を提示すればどの大学の図書館でも利用できます。
 リーズ大学の図書館は大学の委員会(私はその委員の一人でした)によって運営されており、委員会は、図書館が所蔵すべき図書の選定にあたって大学のメンバー(とくに教職にあるもの)の意見を考慮しますが、委員会が主体的に決定することも多いのです。そのため、委員会は図書予算(これは基本的に政府から与えられる)を各学部の要望に応じて配分すると同時に委員会のためにもとっておきます。
 図書館はイギリスの教育の中心ですから、主任司書は教授の地位にあります(イギリスでは各分野に一人の教授しかいないことが多い)。また、その重要性のために、図書館は書物を無制限に貸し出すわけではないのです。例えば、学生は4冊の書物を2週間、スタッフは20冊を2ケ月借りられるだけですし、雑誌にいたっては2日以上は借りられないのです。
 最後に、研究者しか利用できない図書館があることにもふれておきましょう。このような種類の図書館として名高いのはロンドンにある「大英博物館」の図書館で、ここは主として歴史分野に関心のある研究者によって利用されています(例えばここにはカール・マルクス関係のあらゆる資料がそろっているのです)。
(商学部 教授)


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