図書館報
No.54. 1989. 7


カンザス大学の図書館
G. K. グッドマン
(川合 研 商学部教授 訳)

 図書館がアメリカの大学の中心であることは今までいわれてきたし、今日でも事情は変わらない。わがカンザス大学の図書館は現在約190万冊の図書と、多数の雑誌、新聞、ビデオテープ、ミュージックテープ、レコード、稀覯本、政府関係文書を所蔵している。図書館の書庫は学生、教員、および職員に開放されているだけでなく、カンザス州の住民にも開放されている。通常、図書館は毎日午前8時から深夜まで開いている。
 図書館は資料のコピー、マイクロフォーム、またOC-CCモデルによる完全にコンピューター化された文献検索システムなどの様々なサービスを提供している。よくいわれることだが、学生時代にいろいろな種類の書物に接することは、学問に対する関心を広げ、また一生にわたってその人の蔵書を充実させることになる書物に対する愛情を育てる最善の方法なのである。
 カンザス大学の図書館のようなアメリカの大きな大学図書館の抱える一つの問題は、大学の全蔵書を一つの建物の中に収納することがなかなかできないということである。そのため、不幸なことに多数の分館を作らざるをえなくなった。これらの分館はキャンパスのあちこちに分散しているので、利用者にとってはなはだ不便である。歴史学者として、音楽関係図書館と美術関係図書館がキャンパスの中心から遠く離れていることは残念というほかはない。
 これと同じ問題が今年の秋開館予定の科学関係図書館−この建設には巨額の資金が投じられた−にもあり、これができると科学関係の蔵書が人文関係の蔵書から切り離されることになる。

また大学には数学関係図書館、工学関係図書館、経済・経営関係図書館のような様々な分館がある。
 日本からの客員研究員が特に関心を持つ図書館は東アジア図書館であり、これは幸いなことに中央図書館の中に設けられている。東アジア図書館は約2万5,000冊の日本語で書かれた書物と、主要な日本の新聞ならびに専門雑誌を保有している。さらに東アジア図書館は、日本から来た学生や研究者にとって互いに親睦をはかる場所ともなっている。
 おそらくカンザス大学で最も有名な図書館は金額的にも学問的にも貴重な様々な蔵書を持つスペンサー研究図書館である。この図書館はヘレン・スペンサー夫人という一個人によって寄付された資金で建てられた。スペンサー夫人はそのさい寄付の条件として図書館の一階に彼女の亡夫のオフィスを正確に再現することを申し出た。現在そこには故スペンサー氏のオフィスにあったすべての家具、そして電話さえもがそのまま保存されている。
 大学の図書館を維持する費用は天文学的なものである。ドルが安い時にヨーロッパや日本から書籍や雑誌を輸入しなければならない。毎年大学の他の予算と同様図書館の予算が州議会に要求されるが、議会が最後に承認する金額では残念ながら十分ではないので、個人の寄付、特にカンザス大学の卒業生で学生時代に書物の重要性を学んだ人の寄付に依存することになる。不十分な州の予算にもかかわらずわれわれの図書館が成り立っているのはこういった人達の援助があるからである。
(招聘教授・カンザス大学教授)


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