図書館報
No.55. 1990. 1


図書館の将来像
浅野 直人

図書館の役割の変化  図書館といえば、書籍を所蔵し貸し出す場所と考えられがちです。しかし、最近の情報技術の急速な進歩に伴い、図書館で収蔵し利用に供すべき資料の形も、磁気あるいは光学ディスクなど、多様化してきました。また、オンラインによる他の機関所蔵資料への直接のアクセスの可能性拡大など期待されるサービス内容も大きく変化しつつあります。これまでも福岡大学図書館は、研究・教育用資料の所蔵、貸出にくわえ、情報検索サービスなどの役割を果たすほか、特に本館は、学生の自習場所やラウンジ機能の提供など多様な役割を果たしてきました。しかし、本来の業務として研究・教育・学習のための役割を重視していく必要があります。
施設の狭隘化と限界  ところで、現在の図書館は手狭になっており、たとえば本館では新しいサービスの提供はもちろん、業務増大に伴うスペースすらなく、すでに会議室は作業室に転用されている状態です。さらに書庫は70%を越える図書を収納すると分類番号別の配架ができなくなり機能を喪失してしまうのですが、福岡大学では限界を越しつつあり、今年から使用をはじめた本館新書庫ですら2年程度の寿命と考えられています。このほか、理系学部におかれた分室も、新刊雑誌を並べる場所もない、といった状況になってきています。そんなわけで、図書館の将来を見越した施設計画をたてることが緊急の課題となっています。この場合、図書館の立地場所は研究室・教室との距離についても十分な配慮のもとに検討がなされる必要がありそうです。

開かれた大学と図書館  大学が卒業生や広く地域社会に開かれたものとなり、研究・教育面でも社会のニーズに応えるものとなる方向をめざすとき、図書館もこれに対応する用意が必要です。さしあたり、卒業生を中心に学外者の図書館資料利用を積極的に認めることが必要でしょうし、また、学外他機関との情報ネットワーク整備の推進にあたって、図書館が果たすべき役割は少なくないと思われます。
図書館の整備の方向  現在本館では、全学の書籍を集中管理していますが、学際的研究の充実のために福岡大学の方式は意味があると考えます。ただ、人員の充実、特に専門的知識をもったスタッフの優遇が望まれます。さらに、学生にも直接資料を検索させるためには、開架式図書館の方向が望ましく、一方でめったに利用されない図書は収蔵庫に収納するなどして空間の有効利用を図るべきでしょう。他大学の例をみると、地下を収蔵庫とし、500坪以上の平面空間をもった施設が作られていますが、福岡大学でもこのような施設ができればと思います。
情報センターとしての図書館の将来  図書館資料形態の変化をも考えるときには、福岡大学の視聴覚教育施設の将来なども視野のうちにいれた検討が必要なことに気付かされます。さらに、総合研究所独自に収集・保管している研究資料との関係についても考える必要があるように思われます。つまり、大学の研究・教育・学習(さらには医療)のために必要な資料・情報の収集・保管・利用の形を関連づけて考えることが必要です。そして、このように考えるときには図書館は総合的な情報センターの中心としての役割を果たしていきたいものです。
(法学部 教授)


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