図書館報
No.57. 1990. 7


日米関係の相互理解
S. A. ウェストン

 日米関係はますます複雑になってきました。最初日本はアメリカにとって、よそよそしいライバル、後輩、弟子、追従者でしたが、今は経済上のライバルとなり、ある場合には先生になっていることもありませんか。
 日米関係は80年代をふりかえるといろいろな出来事がありました。ロン・ヤス時代、600億ドルに達した貿易赤字、円高、日本のアメリカにおける投資の増大、たとえばソニーのコロンビア買収や三菱のロックフェラー・センター買収、ある程度の日本の農業自由化(日米牛肉・オレンジ協定がその例としてあげられます。)、防衛費のGNP1%枠突破などです。
 90年代に入っても日米貿易赤字はまだ50億ドルほどあるので、アメリカではますます日本に対して見直し論が強くなってきました。彼らはこう信じています。日本は鎖国的で、生産および輸出志向型の社会であり、どの程度までグローバルな責任を持つ必要があるかということに関心を持っておりません。彼らは日本をコントロールしなければならないという考えを持っています。そして、管理貿易制度を日米貿易摩擦の戦略として使うことを考えています。
 見直し論は日米関係の中で一つの論争上の理論になってしまいました。次の本を読んだらもっと理解できると思います。
1. 有名な政治学者 Chalmers Johnson の “MITI and the Japanese miracle”

2. もとアメリカ側交渉者 Clyde V. Prestowitz, Jr. の “Trading places”
3. オランダ人ジャーナリストで日本に長く住んだことのある Karel von Wolferen の “Enigma of Japanese power”

 見直し論者が新しい戦略を考えているあいだに、超保守派自民党国会議員の石原慎太郎と大実業家のソニーの盛田昭夫が書いた「ノーと言える日本」は一つの反論と言えるでしょう。この本は日米間に横たわる大きい問題について、経済や政治だけでなく、軍事、人間関係にいたるまで日本人の本音をあらわしたものです。アメリカの日本たたきに対する日本人の憤りの高まりを示しているものと思われます。
 よりよい日米相互理解のために、アメリカの日本専門家は日本語で書いてある本をもっと読む必要があります。同時に、日本の重要な本が英語でもっと出版されれば、さらに良い方向に行くでしょう。日米両方向からのコミュニケーション・チャンネルが増えなければなりません。最近、石原さんはアメリカ人読者と自分の本について話し合うためにアメリカを訪問しました。こういうコンタクトは大切ですし、いろいろな分野の日本の指導者が石原さんと同じように、たびたびアメリカを訪問して話し合えば、日米関係にとって有益であるということは疑う余地がありません。
(法学部 講師)


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