国立国会図書館の窓口が本学図書館に来た! 藤井 哲 名誉教授 博士(文学)

 2015年2月に刊行された『デジタル・アーカイブの最前線』(時実象一著、講談社)によると、日本の出版物をすべて収蔵することになっている国立国会図書館(National Diet Library)が、2009~2010年に127億円の巨費を投じて、所蔵する1960年代以前の刊行物から90万点を選んでデジタル化したそうである。
 2014年であったろうか、著作権保護期間(通常著者没後50年)が終了していない資料であってもNDLから配信を受けて各地の図書館で閲覧できるようになりそうだとの新聞報道に接した記憶もあった。
 人文学部で同僚であった則松彰文教授が本学図書館(FUL)の館長を務めておられた頃、私は立ち話しのついでにそのシステムの導入を提案してみた。教授は関心を示され、早速NDLと協定を結ぶ準備に入ってくださったようである。しかし何かと煩雑な手続きが控えていると聞かされていた私は、成り行きに任せたままノンビリ静観していた。
 2016年が明けて間もない頃に、教授から「もう利用できますよ」と告げられ、それからというもの私はここに御紹介する「国立国会図書館デジタルコレクション」(http://dl.ndl.go.jp)の常連客となったのである。これまでは保存上の配慮からアクセスを許されなかった貴重資料もデジタル化されていれば、七隈の地で思い立ったその時にくつろぎながら閲覧できるようになったからである。
 このコレクションは「図書」98万点、「雑誌」128万点その他からなり、「蔵書数約197万冊、雑誌約20,000タイトル」を標榜するFULに劣らぬ規模にある。更にはデジタル化された資料を半年ごとに追加する構想のもと、2016年6月にも図書が6万点、雑誌記事が2.3万点追加されている。1960年代以降に刊行された資料のデジタル化も今後は加速されようから、収録状況は着実に充実するであろう。
 いま、自宅のパソコンで「国立国会図書館デジタルコレクション」につなぐと、本欄下に転載したようなトップページが現れるであろう。おでこの位置に検索用の空欄があるので、書名でも人名でも構わないが、とりあえず福原麟太郎と記入してみる。すぐ下にある インターネット公開の□だけにが入った初期状態で検索したら8件しかヒットしない。そこで図書館送信資料の□にもを入れて検索してみると、資料が600件近くあるのが判る。欲張って国立国会図書館内限定の□にもを入れて再検索すると、配信されない資料も含めて約1,800件の書誌データが眼前に揃い踏みしている。つまりNDLが所蔵する資料の多くについての詳細を瞬時にして呼び集めたことになる。福原麟太郎関連の資料を収集していた私には宝の山に取り囲まれたような思いであった。
 いささか手前味噌になるが、私は2014年に『福原麟太郎著作目録』を九州大学出版会から上梓していた。しかし執筆当時に「国立国会図書館デジタルコレクション」から検索・閲覧・複写ができたのはインターネット公開の資料に限られていたから、その後たった2年でコレクションの利用環境が劇的に向上したことになる。
 私の場合は、先ず自宅のパソコンで、3つの□にを入れて福原麟太郎で検索する。そのままページの左枠を見ると該当する資料の現時点での総件数とその内訳が、形態やNDC分類や刊年等のカテゴリー別に件数で表示される。私は検索結果を出版された年で、さらに月別に絞り込んで、順次『福原麟太郎著作目録』と照らし合わせてみる。 有り難いことに書誌情報には目次・巻号のボタンもあるので、それにより(必ずしも精確ではないが)各章各記事のタイトルや掲載ページを教えてもらえる。その結果、私が自著に補填しなければならない1960年代までの文献が何であるかを具体的に知ることができた。

現在では、ここまでの作業であれば自宅に居たままで進めることができる。
 ところで、自宅で検索していてストレスを募らせてくれるのが、図書館送信限定という目障りな表示である。クリックしても肝心の部分は黒塗りで返信され、「この資料は、著作権の保護期間中であるか、著作権の確認が済んでいない資料のためインターネット公開をしていません。閲覧を希望される場合は、国立国会図書館または図書館送信参加館へご来館ください。」と、すげなく門前払いされる。
 いよいよここからがFULの出番になる。2階のカウンターで、「国会図書館のデジタルコレクションを利用させてください!」と一声掛けるだけでOK。スグ専用端末につないでくれるはずである。画面上の操作も自宅での操作と全く変わらない。閲覧するだけなら費用は一切掛からない。FULの2階なら、(お茶は出ないが)サロンの気分だし、館員も付かず離れずの対応で居心地がよい。複写して欲しい箇所があれば、所定の用紙に記入して館員に渡す。著作権で許される範囲(書籍なら総ページの半分未満)で受け付けてくれる。その日か一両日後には1枚あたり10円の費用で手渡されるであろう。
 同じ様に頻出してウットーシイのが国立国会図書館内限定というラベルである。FULの端末でも本文の閲覧はできない。しかし〝心配ご無用!〟である。書誌情報だけなら目次・巻号をクリックして呼び出せるので、読んでみたい資料があれば、FULのトップページからMy Library にログインしてILL(図書館相互貸借係)に図書の現物貸与もしくは文献複写を申し込めば、費用は多少掛かるが解決してしまう。FULの担当者はどなたも有能なので、全国を股に掛けて、たいがいの資料は捜し出してくれる。
 必要な書誌情報が揃っていない場合には「ill@fukuoka-u.ac.jp」にメールで依頼すれば、調査をしてもらうこともできるようである。
 そんなふうで私も、この照合作業で入手すべき記事が数件と短文が数十件在ることを知り、FULの「デジタルコレクション」で複写できるものは複写し、国立国会図書館内限定とあればILLに複写を申込んで、僅か1件を除いたすべての資料を2ヵ月前後で入手することができた。
 なお、東京永田町の本館か京都相楽郡の関西館に出向いて「登録利用者カード」を作れば、国立国会図書館内限定の資料であっても、個人の資格で複写(件数や範囲に制限あり、費用は後払い)と自宅宛郵送を手もとのパソコンから申し込むことができる。ただし、そうした場合には、不意に電話で確認を求められたり、些細な規定違反を𠮟られたりする覚悟をしておく必要がある。
 このコレクションを利用できて私としてはウレシイのであるが、意外にも端末機で私以外の利用者に遭遇した経験が唯の一度もなかった。日本最大の図書館がわざわざFULまで出張して窓口を開いてくれているというのに、モッタイナイ話である。FUL利用の資格を付与されながらこのサービスを御存じない方が多いのかも知れない。そこで私は、その導入をお願いした責任も感じるので、一利用者として承知する範囲でしかないが、ここに紹介させて頂いた次第である。(2016年10月)

国立国会図書館でデジタル化資料図書館送信サービスの利用方法[利用できる方]福岡大学の学部学生、大学院生、職員[利用方法(閲覧・印刷)]中央図書館2階総合カウンターにお申し込みください[受付時間]平日 9:00~17:00/土曜日 9:00~12:00[印刷]モノクロ/1枚10円カラー/1枚50円※印刷は著作権法の範囲内で可能


国立国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp