グリム童話を描いた一枚絵

一枚絵

15世紀頃からヨーロッパ中に広まった庶民のための絵入り新聞のような値段の安い印刷物です。
これは、読み書きが自由に出来ない人々の間にキリスト教の教え、通俗的な知識、世界の不思議、恐ろしい出来事、珍しい話などを広めた刷り物で、日本でいえば江戸時代の瓦版に似ています。
一枚絵には、ノイルピーン一枚絵・ミュンヘン一枚絵・ドイツ一枚絵などがあり、19世紀の印刷技術の発展とともに一枚絵は広まって、グリム童話を題材にした多くの一枚絵が描かれました。20世紀に入ってからは、一枚絵の人気は次第にうすれ、大衆新聞の普及やまんが、アニメーション映画といったニュー・マス・メディアに人々の関心は移っています。
19世紀頃より、ドイツではノイルピーン一枚絵・ミュンヘン一枚絵・ドイツ一枚絵といった一枚絵がシリーズで描かれています。
これら一枚絵を描いたのは、ドイツ・ロマン派の画家たちで、グリムのメルヒェンも多く描かれています。

ノイルピーン一枚絵

19世紀に北ドイツのノイルピーンで作られた一枚絵。
このノイルピーン一枚絵により、ドイツの一枚絵が普及し盛んに作られるようになります。

【代表的な画家】
グスタフ・キューン
(Gustav Kühn, 1794-1868)

ミュンヘン一枚絵

1848年から出始めたブラウン&シュナイダー社で作られ、名高い画家の参加により芸術的にもレベルの高い一枚絵。
これまでとは違い、庶民でなく教養ある市民階級を対象としました。描いた画家のサインを記すなど画家としての体裁を備え、興味深いテーマを選んで描かれた一枚絵です。

【代表的な画家】
オットー・シュぺクター
(Otto Speckter, 1807-1871)
フランツ・ポッツィ
(Franz Graf von Pocci, 1807-1876)
フェルディナント・ロートバールト
(Ferdinand Rothbart, 1823-1899)
オスワルト・ジッケルト
(Oswald Sickert, 1828-1885)
ルードルフ・ガイスラー
(Rudolf Carl Gottfried Geissler, 1834-1906)
マックス・アダモ
(Max Adamo, 1837-1901)
ヴィルヘルム・ディーツ
(Wilhelm Diez, 1839-1907)
モーリッツ・フォン・シュヴイント
(Moritz von Schwind, 1804-1871)

ドイツ一枚絵

シュトゥットガルトのグスタフ・ヴァイゼ書店により1867年から出された一枚絵。
1872年に発行中止になるまで250枚しか出版されていません。

【代表的な画家】
テーオドール・ホーゼマン
(Theodor Hosemann, 1807-1875)
オスカー・プレッチュ
(Oskar Pletsch, 1830-1888)
ルードルフ・ガイスラー
(Rudolf Carl Gottfried Geissler, 1834-1906)
ヴィルヘルム・ジムラー
(Wilhelm Simmler, 1840-1914)