メルヒェンの語り手

グリム童話イメージ
世界中でベストセラーになったグリム童話が、二十代のグリム兄弟によって集められ出版されたのは驚くべきことである。『子供と家庭の童 話』第1巻が出たのが1812年で、兄が27歳で、弟が26歳であった。
兄弟はメルヒェンを編纂するにあたり、根源的に民衆の間に発生し伝えられた話を、直接口伝えによって集めようとした。こうしてこの兄弟によって作り出された数々の傑作には、文献から収集されたものと、若いお嬢さんたちに口伝えで提供してもらったものに、ヴィルヘルムが 文学的な文体を与アタえたものとがある。口伝えの部分については、メルヒェンの語り手がうら若い女性であったのも、意外なことである。
語り手テの生活・社会的背景が兄弟のメルヒェン編纂の要因となったことを探ることにした。

ヴィルト家

Wild
カッセル市でグリム兄弟の住居の近所にあった「太陽薬局」を営んでおり、カッセル市民の中では上流階級に属していた。そしてその娘たちはグリム兄弟の妹ロッテの友達であった。
彼女たちの話はほとんど全てグリム兄弟(主にヴィルヘルム)によって手が加えらていることも確認されている。

ハッセンプフルーク家

Hassenpflug
ヴィルト家同様三人の娘たちがグリム兄弟の妹ロッテの友達。母親がユグノー(フランスのヴァン派)の出身で、彼女たちの話の中にはフランスからのものと思われるものが多く、後の版で削除された話も多い。

ドロテーア・フィーマン(フィーメニン)

Dorothea Viehmann
カッセル近郊ニーダーツヴェールン村の仕立屋の妻だったが、カッセルに野菜を売りに来てはグリム兄弟の元に立ち寄り話を提供した。

ハクストハウゼン家

Haxthausen
ヴィルヘルムは、心臓病のためハレを訪れた際、かねてより知り合いであった貴族の家系に属するヴェルナー・フォン・ハクストハウゼンに会い、彼の領地ベーケンドルフに招待される。こうしてヴィルヘルムはベーケンドルフを訪ね、彼の弟アウグスト、妹ルドヴィーネ、アンナと親しく付き合うようになり、メルヒェンや伝説を提供してもらうようになった。

その他の語り手

ラミュ姉妹
竜騎兵曹長 フリードリヒ・クラウゼ
フリーデリケ・マンネル
フェルディナント・ジーベルト牧師
フィリップ・オットー・ルンゲ
フリートムント・フォン・アルニム
マールブルクの救貧院の老女
ゴットシャルク夫人
パウル・ヴィーガント