12.農家撰種録さくにんたねかがみ
           横版一舗(26.7×39.6cm) 大蔵永常(おおくら・ながつね)弁 
              [幕末] 筑紫博多東町 百花堂袖彦
(ひゃっかどう・そでひこ)蔵板


所蔵情報(農家撰種録さくにんたねかがみ) 写真(農家撰種録さくにんたねかがみ)

 本品も前者と同じ草木男女之図の一異版であるが、此方は三十一種をより整頓した形で収めている。また
大題下の解説文には「こは大蔵永常先生の弁ずる処にして、実に農家有益の大なる所也」とあって撰者を
大蔵永常としたのは前掲品と同じく異伝の一つで、恐らく郷土の先達の名をかりて権威づけを図ったもので
もあろうか。
 中央の解説文は「(前略)予製する所の種々の薬を世に弘めんがため。年頃諸国の市町在々をあるくに、
此女種をゑらび蒔ひて大に徳を得、富る人多し 〜是にならひて、製する所の薬も種をゑらびなば、其功能
多からむとおもひ、薬種を吟味して調合す故にこたび薬を弘むるの次で、種物の画をあらはして是を懐にして
諸人に施印す。閲する人試て作徳を得給むことを思ふ。かくいふは筑紫博多東町 薬舗 百花堂袖彦」とあり、
農事有益の品と見定めて、諸国諸職の人によって広められていった様子がうかがえる。