20.筑後国三十三所巡礼哥(外) ちくごのくにさんじゅうさんしょじゅんれいか

小本一冊 作者未詳 [幕末] 久留米 円通寺(えんつうじ)印施

所蔵情報(筑後国三十三所巡礼哥(外)ちくごのくにさんじゅうさんしょじゅんれいか)
表紙写真(筑後国三十三所巡礼哥(外)ちくごのくにさんじゅうさんしょじゅんれいか) 内容写真(筑後国三十三所巡礼哥(外)ちくごのくにさんじゅうさんしょじゅんれいか)

 極小本の一冊。共紙表紙、コヨリ綴じ、外題は表紙に「筑後国三十三所巡礼哥」と摺り付け、裏表紙に「久留米円通寺印施」の木印が捺されているが、本文中の円通寺は十二番くさば、十六番久留米、三十二番かはぜの三ケ寺があって、その十六番の寺がそれに当たるか。  内容は観音巡礼の順番どおりに寺名・道筋・里程及びそれぞれの御詠歌を記したもので、版面からみても紛れもない田舎版である。それぞれの寺で施したものと思う。地名・寺名・里程を抜書しておく。殆どが平仮名で記述されるが、推量で漢字を宛ててみた。

  一番 良山本地堂 やまもとへ一里二十三丁
  二番 やまもと くはんこうじ いしかきへ二里二丁
  三番 いしかき 観音寺 やまぎたへ二里二十九丁
  四番 やまぎた せいすい寺 とくどうへ二里二十九丁
  五番 とくどう 報恩寺 ほん郷へ三里一丁
  六番 ほん郷町 慶雲寺 松崎へ一里四丁
  七番 まつざき りやうじゆ寺 よこぐまへ一里
  八番 よこぐま 如意輪寺 大いたゐへ二十七丁
  九番 おほいたゐ 福寿庵 鯵坂へ一里六丁
 十 番 あぢさか ふさい寺 国分寺へ一里十四丁
 十一番 護国山 国分寺 くさばへ十四丁
 十二番 くさば 円通寺 北野へ十七丁
 十三番 きたの せんとく寺 いしざきへ十一丁
 十四番 いしざき ゑんしょう寺 くましろへ十二丁
 十五番 くましろ 安国寺 円通寺へ一里五丁
 十六番 久留米 円通寺 せうりん寺へ十丁
 十七番 同じく せうりん寺 正せん寺へ十一丁
 十八番 同じく 正せん寺 観音寺へ一丁半
 十九番 同じく 観音寺 夜明へ一里半
二十 番 よあけ てうにち寺 西牟田へ一里十五丁
二十一番 にしむた くはんげん寺 くまの村へ二十丁
二十二番 くまの村 ばんどう寺 いまで□へ一里二十二丁
二十三番 いまで□ 光明寺 いまやまへ五里
二十四番 いまやま ふくはう寺 下うぢへ一里十六丁
二十五番 しもうぢ ゑにち寺 すだへ三十四丁
二十六番 くすだ たいしゃく寺 はるのまちへ一里二十五丁
二十七番 はるの町 かふざん寺 もとよしへ一里十五丁
二十八番 もとよし せいすい寺 大つかへ十八丁
二十九番 おほつか ゑいこう寺 やましたへ一里二十五丁
三十 番 やました じゃうふく寺 きた田へ二十七丁
三十一番 きただ 大くはう寺 かはぜへ二里十一丁
三十二番 かはぜ 円通寺 かごをへ五里三丁
三十三番 かごを  れいがん寺 是より吉井町へ出て帰るべし

 良山から始まって、吉井町迄のこの巡礼道は、今も信仰の道として辿られているものかどうか。