(タイトル)雅文学への誘い
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Ⅱ紀行・勝景詩

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19. 月瀬記勝(ツキガセキショウ)
(刊)大本二巻二冊 
斎藤拙堂 [著]
嘉永四年(1851)十月序 
看雲亭蔵版

 月ヶ瀬(現奈良市月ヶ瀬)では、紅染に欠かせない烏梅(梅の実を煙で黒く燻したもので、媒染剤として使用)を生産するため、名張川の渓谷の両岸に梅の木を植えた。それが、見事な梅林となり、江戸時代中期頃から、名勝地として知られるようになって、多くの文人墨客がこの地を訪れたのである。やがて、その景色を愛でる詩文が編まれ、出版されたのが18.『月瀬梅花帖』である。この本の現存数は少ない。
対して、この地を有名にしたのは、その後に刊行された 『月瀬記勝』 のほうである。「看雲亭蔵版」とあって、奥付のない版が初版とされるが、幕末から明治・大正・昭和と何度も繰り返し出版されている。特に、近代に入ると、書型が小本となって観梅の土産として数多く売り出されたようである。(参考:村田榮三郎『江戸後期月瀬観梅漢詩文の研究 : 文化・文政期より幕末に至る 』(汲古書院2002年))

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