■画像データベース「九州の出版文化」
■和本について
■「九州の出版文化」に見る 儒家・文人

■画像データベース「九州の出版文化」

 福岡大学図書館が架蔵します九州関係江戸時代文献コレクションの中から、江戸時代の後期(十九世紀)に博多、福岡で出版された書物群、久留米、佐賀、長崎などの出版物、および九州の儒者、文人の著述類の「板本(整版本)」を中心とした画像データベースです。
 江戸時代の日本は、世界にも稀な出版文化の先進国として位置づけられますが、それはあくまでも京都、大坂、江戸の三都を中心とするものでした。出版事業は、十九世紀に入ってから地方への拡がりを見せ始めます。ここ筑前福岡の地では、寛政十二年(1800)に印刷された書物「農家訓」(2番)の頃まで顕著な出版事業の活動は見られませんでした。しかし、出版という最新の文化事業は、瞬く間に人々の生活に密着した事業として活発な拡がりを見せていきます。
 江戸時代の書物の分類については、形態による分類、内容による分類などが考えられますが、画像データベース「九州の出版文化」では形態による分類によって地方の出版物を閲覧できるように構成しています。第一部郷土板は九州で出版された板本、第二部三都板は九州関係人物の著述で、三都で出版された板本、第三部を写本としています。とくに第一部郷土板では一点一点に解題を付し、出版文化が地方に根づいていった情況を紹介しています。
 形態による分類は、手書きされたもの(写本)か、印刷されたもの(板本)かという分類が一般的ですが、ここでは板本(整版本)を中心に取り扱っています。板本はすべてが手造りであることと、一度の印刷部数が極めて少ないことが特徴です。また、板本は外型上の判の大きさで分類・整理できることも特徴の一つです。さらに、板本は軽量であり簡略な装訂で、しかも折れ曲がりやねじれに強い性質を持つ和紙の本であることも近代製本技術による活字本との大きな違いです。
 画像で板本の特徴を見ていただくとともに、印刷・出版事業が宗教、学問といった世界のみの手段であったものから、文芸・古典、民生教育などの文化事業や商業活動といったものにまで拡がっていった地方文化のすばらしさをお伝えできればと思います。

 *板本の解題および編集、構成では、故・中野三敏氏(本学元人文学部教授)のご執筆、ご協力をいただきました。

■和本について

板本の部位

和本とは、わが国で古来行なわれていた整版法と装訂法とによって作られた本で和装本ともいいます。和本のうち、紙面に手書きした本を写本(しゃほん)、印刷した本を板本(はんぽん)または刊本(かんぽん)と呼びます。
板本の版式には、一字ずつ彫刻または鋳造された文字で組板(くみはん)を作り、墨を塗って印刷する活字本、石や金属、木に彫り込まれた絵や文字を紙に写しとる拓本(江戸時代には石摺(いしずり)と呼ばれる)、文字や絵図を裏返しの形で板木(はんぎ)に彫って摺リ上げる整版(せいはん)があります。整版は、江戸時代に最も普及し数多く現存していますが、写本と近代の活字印刷本との中間に位置する印刷方法といえます。

■「九州の出版文化」に見る 儒家・文人

名前をクリックすると、それぞれの説明がご覧いただけます。

貝原益軒 貝原益軒  山崎普山 山崎普山  亀井南冥 亀井南冥  原古處 原古處   斎藤秋圃 斎藤秋圃  亀井昭陽 亀井昭陽