福岡大学図書館ヨーロッパ法コレクション
法学の源流をたずねて-すべての法はローマ法に通ず-
  TOPページ資料と解説年表出版地・出版年ギャラリー参考文献
図書館長あいさつ
図書館長 長谷川正国
   
  福岡大学図書館は、1984年に創立50周年事業の一環として「ヨーロッパ法コレクション」を購入いたしました。このコレクションは、ドイツのカイプ社がマックス・プランク・ヨーロッパ法史研究所の協力・援助を得て収集した逸品で、当時、その充実振りから世界中の大学図書館の垂涎の的でありました。購入後、20年以上にわたり欠本の補充に努めた結果、コレクションは15世紀から19世紀にいたる重要法律書をほとんど網羅し、今や名実共に世界屈指との評価を得ております。図書館ではこれを広く学内外の研究者の利用に供してまいりました。近年、このコレクションの重要性から、その一層の公開を求める要望が国内外から多数寄せられたため、『ローマ法大全』の各刊本中で信頼できる「ゲバウエル=シュパンゲンベルク版」を画像データベースとして公開しました。次いで、これをコレクションの目録と併せてDVD化しました。このDVDは思いもよらず私立大学図書館協会の2004年度協会賞受賞の栄に浴しました。
  今回、このコレクションの一部を「法学の源流をたずねて?すべての法はローマ法に通ず?」のタイトルで展示することになりました。この展示の目的は、市民の皆様に普段目にすることのないコレクション所蔵の原書を直接にご覧になって頂くと同時に、展示した書物を通してヨーロッパにおける法の発達史、より広く言えば文化史を一望して頂くことであります。現在、ヨーロッパは欧州連合の拡大によりあらゆる面で統一の度合いを深めております。しかし、その一方で、欧州各国は独自文化の一層の保存に努めております。この統一性と多様性はヨーロッパ文化の伝統であり、法発達の歴史でもあります。展示は、源流としてのローマ法と教会法、それらの理論的深化、各地域固有法の編纂、近世自然法理論の発達、近代国家における法典編纂、にかかわる代表的書物・資料によってこの伝統をあとづけております。
  ただし、ヨーロッパ法固有の問題として指摘しなければならないのはローマ法の重要性です。「法の世界の天才」であったローマ人が生み出したローマ法は、ローマの平和を支えたばかりでなく、中世および近世ヨーロッパ大陸普通法(共通法)の基礎でありました。それは19世紀以降の近代国家で企てられた法典編纂に大きな影響を与えてきました。また、近代国際法を生み出した諸学者を育んだのは「書かれた理性」としてのローマ法の知識でありました。展示資料はそうした事情を余すところなく伝えております。
  なにはともあれ、市民の皆様に「ヨーロッパ法コレクション」選りすぐりの47点をその解説と共に、活字で、装丁で、色彩でお楽しみ頂けたらと思います。ご感想をお寄せ頂ければ幸いです。図書館は今後とも所蔵の図書・資料をこのような形式で展示して行く予定です。ご期待下さい。
  最後に、今回の展示会の開催にご協力を頂いた丸善株式会社の関係者の皆様ならびに図書館の担当部署の方々に御礼申し上げます。この展示に助言と指導を惜しまなかったばかりでなく、西洋法制史の一級の入門書としての使用にも耐える展示図書解題を執筆して下さった本学法学部の野田 一教授には感謝の気持ちで一杯です。

 
展示会についてに戻る


Copyright(C) 2006 Fukuoka University Library. All Rights Reserved.