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老功の者とも評議をなし、心をくばるべきものならし。 ○同じ所に植並べたる田の畝をへだてて、優劣(よしあし)あるを見て、是を問ふに、 是は富家(ふか)の田ゆへ人手多くてかくのごとく肥たり、是は貧家の田ゆへ手すくなくてかく痩(やせ)たりと、答ふ。 しかれば、手数を入れて、くはしくするほど能しと見へたり。 又、其しほ合を知ると、知らざるにもあるべし。 其知る所、熟煉(じゆくれん)に在べきものならし。 ○百姓は、幼少(ようしやう)より鋤鍬に馴れ、牛馬をもつかひおぼへて、能く鍛煉(たんれん)せずしては、下をつかふに無理ありて、ゆきとゞくべからず。 百姓が百姓をつかふ故に、つかはるゝ者も、偽(いつは)り欺(あざむく)ことならず。 第一、その道に通達せざれば、人の苦(く)を知らぬゆへ、恨も亦多かるべし。 万事、空理(くうり)にて人をやり |