十一丁・裏(テキスト) 十一丁・裏(画像) 十一丁・裏
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際限(さいげん)より前に仕とゝのへるべきならし。 同輩(どうはい)の借し借りとても、其時におくるれば、信義(しんぎ)を失ひて恥きに、いわんや上納においてをや。 諸公役(しよくやく)を大事にかけ、御用に立をありがたく思て勤べし。 下賤(げせん)の身にて、上の御用を勤は、大なる規模(きぼ)なりと心得べきなり。 殊に、百姓の公役は、百姓の勤なることを能く合点(がてん)すべし。 たとへば、僅(わづか)なる給米を遣し、一年半季(き)の奉公人を抱(かゝ)へ、其際限(さいげん)の内は、 朝から夜まで用繁(しげ)く言ひつけるに違背(いはい)せざるがごとく、百姓は極りの米、大豆、その高に依て、 三分が二ツを貢にして、一分を百姓の所務(しよむ)に定たれば、取もなほさず、下人の給米と同じ。 しかれば、十六歳より六十歳まで、四十五年が間は、いかほど御用に御つかひありとも、違背すべきことに