十二丁・裏(テキスト) 十二丁・裏(画像) 十二丁・裏
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其心なれば、喧嘩(けんくわ)口論(こうろん)工(ママ)事訴訟(そしやう)、徒党(とたふ)を組(く)む等のことを、恥とはすべし。 万事、欲(よく)を去り、堪忍(かんにん)をすれば、穏(おだやか)なるべきものならし。 事しげき御政(まつりごと)の中に、身分のことに付て申出て、御世話をかけ奉ることを憚(はゞか)り、互(たがい)に堪忍をし、人のあつかゐを聞入れば、口舌(くぜつ)はあるべからず。 利と損とのみに拘(かゝは)るは、商人の情にして、農家には賤(いやし)むべき事ならし。 利を得てうとまれんよりは、損をして心安からん分別、肝要なるべし。
農には、天災(さい)のおそれ有れば、仏神の加護(かご)なくては叶べからず。 昔より、祭来れる通にして、信心をなすべし。 神慮(りよ)、仏意(ゐ)をはかりて、新(あら)たに祭こと、有べからず。 旱損(ひでり)、雨損(あめ)、風(かぜ)、蝗(むし)等をまぬがれ、五穀