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植(う)へ、苅(かる)とばかり心得て、全体(ぜんたい)は天道まかせのように思うべきにあらず。
予、老農に其術(じゆつ)を問ふに、米が出来れば、麦を蒔き、豆を植へ、其培養(ばいよう)の時を違へざる心づかひに、
四季のめぐるに尻(しり)を追(お)はれて、少しもいとまなしとかや。
人のやりくり、牛馬のつかひかた、公私の農用油断(ゆだん)ならざれば、他事の稽古(けいこ)は何によらず、農家には無用なるよし言へり。 ○学問(がくもん)の大意は、文字(もじ)の義理(ぎり)をわきまへ、聖人(せいじん)の教へ、賢人(けんじん)の行跡(ぎやうせき)を考(かんが)へ、 それを手本として、むかしよりの事跡(じせき)をおぼへて、人の為、世間の為に身を働(はたら)かせ、我が為に貪(むさぼ)ることなく、 其身をつゝしみて、人の道を能く合点(がてん)して、人にも教へ、 |