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なりさがるものなり。殊(こと)に角力(すまふ)をとるべからず。
放埓(ふらち)になり、病身に成り、命も短きものなるべし。総(すべ)て、人に勝(かた)んと思ふ遊は、さもしきものなり。
碁さへも博碁(ばくぎ)とて、博奕(ばくち)の部類のように沙汰せられしなれば、別して勝負(しやうぶ)を争(あらそ)ふ遊はすべからず。
百姓は、我苦労して人能かれと志す業なるに、叶はざるべし。 ○百姓は、田畠の事の外は何も知らですむ身なり。法度を守り、工(ママ)事、訴訟の荷担(かたん)せず、愚(おろか)に見らるゝぞよし。 利発(りはつ)は人の重宝(てうほう)には成れども、却て拙(つたな)きものならし。利根(りこん)は馬鹿(ばか)の奴(やつこ)にして、能書(のうしよ)は無筆のつかゐものとて、 鈍(どん)にして富(とめ)ば、利根なる者をやりつかふに手づかへせず。 必幼少(ようしやう)にて利発なるもの、長ずるに |