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つけて、初愚に見へし人に劣(おとる)もの多し。
孔子の第一の御弟子に顔淵(がんゑん)と言ふ人あり。
先生この人をおろかなるが如しと仰られし。
其愚に見へし所に、ふかき智が有と見へたり。道のものは、垢(あか)がとれねば持てず。
百姓は、土気のとれては用にたゝずと心得べし。
只、人は智ありと思ひて、我は愚なるぞと心得て、人のうへの評判(へうばん)せぬものならし。
歌に、 人はたゞ芳野の花とながむべしわれは難波のあしと言ふとも 百姓は米を大切にして、一粒の飯にても捨ぬように心を用ゆべし。 穀神の冥慮(みやうりよ)を恐るべきものならし。 不浄(ふじやう)なる所に散たるも、洗て食べし。 又は鳥獣(とりけだもの)に食はせ、糊(のり)の用にてもつかふべし。 |