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祖の玉賜(たまもの)なり。
其うへに生れ出れば、国の人にして、其所の人の数に加はれば、即、国の民なり。
しかるを、ほしゐまゝに殺して、不忠不孝となることを知べし。
別して百姓は、一人にても多きを国の賑とはすべし。
人多ければ、国肥(こへ)て田畠あれる事なく、あらたに田畠をも開(ひらく)べし。
人少ては、国痩(やせ)るの道理なるぞかし。
天の冥々の中に善に福{さい(ママ)}ひし、悪に禍(わざはい)し給ふ処おそるべし。 ○子を殺し、捨る者、おのれが身勝手に理屈(りくつ)を言ひたて、悪行をなす。 行末を謀(はかる)に似(に)て、却て謀なしとや言はん。 寿を願はゞ生(いけ)るを放(はな)し、福を願はゞ窮(きう)を賑はせと言ふ事あり。 同じ殺生の中にも、人を殺ほどの悪はあらじ。 子を殺すは、猶大なる悪なり。人 |