十八丁・裏(テキスト) 十八丁・裏(画像) 十八丁・裏
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を殺て、宝を奪(うば)ふ盗賊(とうぞく)よりも其罪ふかし。 人を殺せば下手人(げしゆにん)となるは、天下の御法なり。 慈愛すべき筈の子を殺して天罸を蒙らんより、其子の為に費(ついへ)をはぶき、家職に精を出し、 いかほども身をしぼりて辛苦(しんく)をし、行き届(とゞ)かずば子と共に袖乞(そでこゐ)をするとても、心に恥ること有べからず。 予、去年国中端々(はし/\)まで遊歴(ゆうれき)せしが、過し頃、本州古来より産子を殺さゞる村々に、其筈の事にはあれども、 上の御慈悲の趣意(しゆゐ)に叶へばとて、其村々には、褒美(ほうび)として、米あまた賜はりたりし事あり。 其所々を見るに、村高に合せては、人高大に多し。 人多き故に、田畠あれず。 隣(となり)村の端々まで作り添へて、大に豊なり。 人の少き村は、端々は他村