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に作られ、自分の作(さく)も人の足らざるゆへに、田畠痩て甚乏し。
是を考へ合すれば、善と悪との禍福(くわふく)あきらけくとおぼゆ。 百姓は、六十一歳より公役(くやく)を免(ゆる)さるれば、老を養ひ余年を楽べし。 家事(かじ)を子にわたして、世の中の世話をはなれ、寺道場(どうじやう)に通て仏につかへる道を習ひ、 香花に立居をなし、欲(よく)を離(はな)れて自然を楽み、無病にして歳を延んことをはかるべし。 ○子に養はるゝ身なれば、成るだけ子に世話をかけぬよう、肝要なるべし。 隠居の心得違にて、其家衰微(すいび)する事多し。国に不忠、家に不孝となる処を勘弁すべし。 ○老て仏法に立入るは、後の世の安心のみにあらず。心のとり |