二丁・裏(テキスト) 二丁・裏(画像) 二丁・裏
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其身を潤(うる)ほし、家をたもつ。 他(た)は自己(じこ)の為を第一とすれば、世々に衒(てら)ひ、人に諂(へつら)ふのさもしき心に労せるもありと言へども、 百姓は、其心をはなれて、身のいやしきを恥(はぢ)ざれば、驕(おごり)の餝(かざり)をうらやまずして、身の安(やす)きを楽(たのし)み、 軽薄(けいはく)なること無く、おのづから君子(くんし)の心に叶(かな)ふべきものならし。 人をたすけ、世を賑(にぎは)せる業(わざ)なれば、いさゝかもさもしき心をもつべからず。
○四民の中にて、百姓を士(さぶらい)の次(つぎ)にして、工商(こうしやう)の上に立てり。 その百姓の上にたつ士とても、百姓より貢を納(おさめ)ざれば、千石万石より切扶(きりふ)に至り、其名はありて実(じつ)なかるべし。 たとへば器(うつは)ありて、盛(も)り入るものの無きがごとくならん。 下にたつ工商はさらなり。しかれば四民の