三丁・表(画像) 三丁・表(テキスト) 三丁・表
←三丁・裏へ 一覧 二丁・裏へ→

中に在て、四民を助(たすけ)る業なれば、これにすぐれたる業はあらじ。 かゝる尊き業なれば、仮(かり)にも拙(つたな)き心を持べからず。 一鍬(くわ)をうち、一鎌(かま)を苅(かる)とても、かくのごとく田畠を自由(じゆう)に作こと、まことに御国恩(こくおん)なれば、 国の為に力を尽(つく)さんと心得、また親先祖より譲(ゆづり)を受たれば、其恩を思ひて怠(おこたる)ことあるべからず。 人に施(ほどこす)ことなくして、自然にほどこしとなる其業の中より、四民を養ふいさほしあり。 此中に、忠孝もおのづから備(そなは)り、目出度く尊き身ぞと心得、いよく世に謙(へりくだ)るべきものならし。
○百姓のうへに立つ士とても、君一人の為に身をゆだね、