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中に在て、四民を助(たすけ)る業なれば、これにすぐれたる業はあらじ。
かゝる尊き業なれば、仮(かり)にも拙(つたな)き心を持べからず。
一鍬(くわ)をうち、一鎌(かま)を苅(かる)とても、かくのごとく田畠を自由(じゆう)に作こと、まことに御国恩(こくおん)なれば、
国の為に力を尽(つく)さんと心得、また親先祖より譲(ゆづり)を受たれば、其恩を思ひて怠(おこたる)ことあるべからず。
人に施(ほどこす)ことなくして、自然にほどこしとなる其業の中より、四民を養ふいさほしあり。
此中に、忠孝もおのづから備(そなは)り、目出度く尊き身ぞと心得、いよく世に謙(へりくだ)るべきものならし。 ○百姓のうへに立つ士とても、君一人の為に身をゆだね、 |