三丁・裏(テキスト) 三丁・裏(画像) 三丁・裏
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役義(やくぎ)に苦労(くろう)する所は、たゞ自身(じしん)の一分をたてゝ、従類(じゆうるい)を養ふ。 又、百姓の下にたつ工商(こうしやう)を言はゞ、工は其職(しよく)に労して己が力をもつて身を立、従類を養ふ。 其工の商に優(まさる)る所は、地金(ぢかね)、材木(ざいもく)等、その外何品にても入用の物は、別に代物(だいもつ)を出して其日くの作料(さくりやう)にて身を過き、 眷属をはごくむに、商の工に劣(おとり)たる所は、偽(いつはり)をもつて食ひ食はせて家内を養ふ。 いかにとなれば、百貫の品を百貫に売ては、何を以て其身も家内も食ふべき余(あまり)あらんや。 易(やすく)て買て、たかく売にて、其余をもつて渡世(とせい)をなす。 しかれば其身はもとより、親子、従類にも偽を食ひ、偽にて養ふもの