四丁・表(画像) 四丁・表(テキスト) 四丁・表
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から、工の下にはつくなん。 都(みやこ)の感神院(かんしんいん)の境内(けうない)に、土佐坊正俊(しやうしゆん)を祭る小祠(ほこら)あり。 十月廿日毎(ごと)に、商人の誓文(せいもん)ばれとて、京都の商人は参詣せざるはなし。 是は、一年中の偽(いつはり)の罪(つみ)をのがれるとてなりとかや。 斯(かく)言へば、商人をいやしむに似たりと言へども、農家の尊きを言はんが為なり。 交易(こうゑき)は聖徳太子(しんうとくたいし)の始給ひしかばあしき業にはあらず。 商人無くては、職人(しよくにん)の業も出来ず。 職人なくては、農具出来まじ。四の民は無くて叶はぬものにて、一ツとして欠(かく)べからず。 其家に生れたる者は、其譲(ゆづり)を受つぎて、其道に力を用ゆべきものならし。 士も、工商も、我が身の為のみに勤(つとめ)るに、百姓は国の貧福、世の豊凶(ほうけう)にかゝる処なれば、格別に尊き業