七丁・表(画像) 七丁・表(テキスト) 七丁・表
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世の為に働く。 其徳の高き所をわするべからず。身は賤しくて君子(くんし)の道に叶へる也。己(おのれ)達(たつ)せんと欲(ほつし)て、人も達するの意なるべし。
○百姓の衣服(いふく)は藍染{あいそ(ママ)}かねずみ、或は柿(かき)などをよしとす。 嶋ならば、小嶋の目だゝぬを用ゆべし。はなやかなる色(いろ)や、総(すべ)て当世めきたるを用べからず。 ゆきも裾(すそ)もみぢかく、羽織なども帯のかくれるばかりにてよし。長きは不倹約(ふけんやく)のみにあらず、市中を真似(まね)し如にて却(かへつ)ていやし。 百姓は古風なるをもて尊きものならし。むかしは木綿(もめん)をも着ず。布(ぬの)に綿を入れて、着たりしとかや。それゆへに、布子(ぬのこ)とは言へり。 暖になれば、綿を去(のけ)て袷(あはせ)とするゆへ、綿ぬきと言へり。暑(あつ)くなれば、ときわけて帷子(かたびら)とせしとなり。古歌に、