八丁・表(画像) 八丁・表(テキスト) 八丁・表
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出家(しゆつけ)と百姓は、やつれたる程殊勝に尊きなるべし。
○百姓は富たりとも、日に三度ながら白き飯(いゝ)を食はぬもの也。願はくば、家内上下をへだてず、雑穀をもて糧(かて)とすべきものとかや。 老人や病人は、格別(かくべつ)に念を入べし。少児(こども)は猶厚味(こうみ)にて育(そだつ)べからず。 甘きものや魚にあざるれば、病を生ずるばかりにあらず、驕が癖(くせ)となり、家を亡すの基(もと)と成べし。
○百姓の家はとりつくろはず、田舎めかしきぞよし。いはれある家はやむことなし。 富たるまゝに玄関(げんくわん)、書院(しよいん)、いかめしく建(たて)つらねたるは、其身に応ぜざるべし。 山家や田家の歌は、住わびたるを詠(よみ)てこそしほらしけれ。農家は質素(しつそ)にて、はやりの風俗をはなれ、永(なが)く