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ほどあしきはなし。
其いとまより、さま/\の驕を生じ、禍(はざはゐ)を招(まねく)ものなり。病をおこし、寿(いのち)を縮(ちゞ)め、福を失ふも、皆いとまよりおこるぞかし。 誰も身をかくおもはばや賤がわざいとまなきをば楽にして 此歌の心を味(あぢは)ふべし。 高きもひきゝも、隙を願はゞ煩ふより大なる隙はあらじ。 死を大休(だいきう)とて、隙の至極は死なりとおもひて、いとまあるを好べからず。 閑居(かんきよ)して不善(ふぜん)をなすとて、むなしくいたづらに居れば、飲(のみ)食(く)ひ、博奕(ばくち)の類、いづれ能からぬ企(くはだて)おこるものならし。 農家の術(じゆつ)は、種(たね)をかし、鋤き、かき、植へ、草をとり、苅とばかり合点し、時節(じせつ)は暦(こよみ)まかせと心得ては済べからず。 天気の晴雨(せいう)、気候(きこう)、寒暖(かんだん)、節季(せつき)の遅速(ちそく)をはかるより、其土地に依て、さま/\のた |