W・モリスのケルムスコット・プレス


52.ウィリアム・モリス 『恋だにあらば』

副題:あるいはファラモンドの失踪――道徳劇

1897年[1898年発行/ ハマスミス刊/Perch/大型4折判(290×212mm)/トロイ活字(本文)・チョーサー活字/ボーダー6a ・7番/紙刷り(300部):2ギニー [ヴェラム刷り(8部):10ギニー]
Morris, William -- Love is Enough, or the Freeing of Pharamond: A Morality. 90 pp. Hammersmith : Kelmscott Press, 1897.[publ. 1898] 所蔵情報へ所蔵情報

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『恋だにあらば』  1872年発表の詩劇。ファラモンド王が幻影に見た乙女に恋し、すべてを投げうって彼女を捜し求める物語。初版本は1872年に出版された。モリスはバーン=ジョーンズの挿絵入り特装版を出す計画を立てていたが、『地上楽園』(No. 41)の場合と同様、特装版出版は実現しなかった。それから25年後、ケルムスコット・プレス版を出すに際して、もとのバーン=ジョーンズの挿絵、フーパー彫刻の作品が日の目を見ることになった。コッカレルによると、バーン=ジョーンズの挿絵にはわずかにカタ‐ソン=スミス (Robert Catterson-Smith) の手が加えられたらしい。1897年7月に印刷開始、発売は1898年3月。『聖処女マリア讃歌』(No. 42)についでケルムスコット・プレス本としては2冊目にして最後の黒赤青3色刷り本である。(前田雅晴)