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炭鉱札とは

(炭鉱札画像)三笠炭坑、大峰炭坑    「炭鉱札」は、主として明治期から昭和戦前期にかけて、各地の炭鉱で賃金支払のために使われた私札(私製の紙幣)です。「山札」「斤券」「金券」「炭券」「採炭切符」あるいは「切符」などさまざまな呼称でよばれていました。このような私札は、資本主義の生成発展段階においては炭鉱のみならずいろいろな産業分野で、また日本に限らず各国でみられました。わが国最大の産炭地であった筑豊でも、ほとんどの炭鉱で発行され、使用されたといわれています。
    明治25年(1892)の鉱業条例や明治38年(1905)の鉱業法によって、炭鉱での賃金支払は通貨によることが定められていましたが、「炭鉱札」はその後も使用されました。背景には当時の少額補助貨幣の不足もあったといわれていますが、経営者にとっては賃金支払に充てる運転資金の節約をもたらし、同時に炭鉱労働者(坑夫)の他炭鉱への移動を制約する手段になるなど、「炭鉱札」の存在は炭鉱の経営や労使関係に大きな意味をもっていました。
    「炭鉱札」は、通貨との交換を約束する「信用券」と、物品等と引き換える「商品券」とに分けられますが、後者は戦後までみられました。