8.艸名集【くさのなしゅう】(外)(角書 「名家画譜」)
諸家の発句を載せる草花の画集。「春冬部」「夏部」「秋部」の三巻三冊から成る。
絵師の落款は見当たらないが、秋圃は「春冬部」の最初の花である福寿草(元日草)に「福寿草人の機嫌を咲あはせ」
の句をはじめ、「春冬部」に計二句(福寿草、天花葉(ツクシ))、「夏部」に三句(苣台(チサノトウ)、地衣花、
凌霄花(ノウゼンカズラ))、「秋部」に三句(葉鶏頭、荏実(エゴマ)、黄蜀葵)、総計八句寄せている。句題とした
草花図が秋圃画であろう。
この8『艸名集』は後印本。初版は文政五年(1822)『艸名集秋之部』(大蘇序)、
翌六年新春序『艸名集夏之部』(五道序)、文政十年(1827)『艸名集春冬之部』(松林鳳臺序)の順に刻成し
(『国書総目録』他)、三巻刊行に足掛け五年を費やしている。
一方、この本の刊記奥付は三巻共、
「諸名家発句画集 艸名集 春冬部 全一冊
同 夏之部 全一冊
同 秋之部 全一冊
安政四年丁巳三月刊
尾陽書林 名古屋本町三丁目
菱屋藤兵衛
同京町通小牧町
美濃屋伊六」
である。従って、三巻同時に発売されたこと、初版本が出た秋・夏・春冬という順序とは異なり、 季節に応じた「春冬部」「夏部」「秋部」という順序付けがなされて販売されていた事がわかる。