カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館を利用する

人文学部図書委員 福嶋寛之

 筆者は日本近現代史の専攻でありながら、2017年にカリフォルニア大学バークレー校にて在外研究に従事した。ここでは同校東アジア図書館を1年間利用した経験について述べたい。

 東アジアはアメリカ合衆国にとっては外国であり、東アジア図書館は中央図書館とは別の専門の図書館として置かれている。ただ東アジアといってもほぼ日・中・韓で占められ、所蔵されるのは日本語・中国語・韓国語で書かれた文献で、英語で書かれた日本関係の文献は中央図書館のほうに所蔵される。そういう難点もあるが思わぬ経験をすることもある。

 1年間の滞在といっても最初の数カ月で目当ての資料収集はほぼ終えるもので、図書館に開架される本を何気なく歩いて見て回ることになる。筆者は韓国語も中国語も読めないが、漢字をたよりに本を手にとる。すると戦前に朝鮮半島や中国にいた日本人植民者たちの原史料の復刻版があったりするわけである。これらは日本で出版されたものではないから日本ではなかなか気づかない。同校東アジア図書館が日・中・韓を並べる形で配架し、かつ自由に手にとることが出来たからこそ出会えたものである。OPACで検索し閉架書庫から出してもらう方式では、入力する検索用語を相当洗練させなければならない。それに海外なら言語の問題もある(英語仕様のOPACにハングルで入力する、など)。先のような本に出会ったのは全くの偶然であるが、出会わなければ出会っていないことに気づかないままだったろう。多くの人が機会あるごとに言っているように、やはり図書館は本との思わぬ出会いの場であり、視野を広げてくれる場なのである。

 最後に、一般の利用者が入れない同校中央図書館の地下書庫について紹介する。書庫は巨大な書架が数十メートルにもわたって並び、その風景は天神の新天町アーケード街に近い。それが地下4階5階まで続く。同校はちょうど開校150周年を迎えようとしていたが(日本でいうと幕末に開校)、その巨大な書庫からは風格そして品格を感じたものである。滞在中、「図書館は大学の心臓部である」とたびたび聞かされた。本学はどうだろうか。

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