図書館の「新しさ」について

経済学部図書委員 森田 薫夫

 私たちの利用するサービスは、近年のインターネットやそれに関連する技術進歩に支えられたものに改新されつつあります。例えば、自転車のシェアリングサービスが挙げられます。このサービスの基本的な構造は、まず、スマートフォンで専用アプリケーションを開き、地図上で利用可能な自転車を探し利用します。そして、利用を終了するときは、移動先周辺の停留所に自転車を停車させ施錠するというものです。自転車を特定の個人が所有するのではなく、多数の個人と共有することで、自転車の利用に伴う費用を抑えることができるという点が特徴です。近年、利用可能な地域も拡大し、さらには利用料金の値上げもなされるなど、当該サービスに対する需要の大きさがうかがえます(参考資料[1]を参照)。

 私たちの日常に定着しつつあるシェアリングサービスは、一見すると、画期的に思われますが、馴染み深さも感じるものではないでしょうか。それは私たちの多くが、図書館で閲覧したい本を借り、それを読み終わったら返却をする体験を経験しているからかもしれません。図書館に貯蔵されている資料には、文庫本や週刊誌など、私たち個人でも比較的購入しやすい安価なものも含まれる一方で、学術雑誌やデータベースなど、個人による購入が難しい価格の資料もあります。本学の図書館の貯蔵資料もその例外ではありません。このような状況下では、私たちそれぞれが資料を所有するのではなく、共有するのに理があります。

 図書館は、シェアリングサービスが注目される以前から、資料のシェアリングを実現した点において先駆的ですが、さらに新しい取り組みがなされています。第一に、ラーニングコモンズです。本学の中央図書館では、2階から4階にディスカッションをしながら学習ができるスペースが完備されています。学年が上がるにつれて、他の受講者と協力しながら、課題に取り組む場面が多くなると思われます。全館「私語厳禁」とする図書館もある中で、多様な学習が可能な環境は貴重です。より直近では、中央図書館の2階から4階のリフレッシュコーナーにおいて軽食をとることが可能になりました(参考資料[2]を参照)。学習の能率を上げるには適度な休息も必要でしょう。常に新しくあり続ける図書館に負けぬように、私たちも知識や考え方のアップデートを続けていきたいと思います。

 

参考資料
 [1] 「シェア自転車のチャリチャリ、利用急増で強気の値上げ」,『日本経済新聞』2024年4月4日電子版
   ※データベース「日経テレコン」から検索してください。
 [2] 福岡大学図書館ウェブサイト 「【中央図書館】館内での飲食について」

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